攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG DVD-BOX (初回限定生産)/田中敦子,阪脩,大塚明夫

¥42,000
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 西暦2030年。“笑い男事件”が解決して半年・・・公安9課が完全な再建に向けて活動をしていた。ある夜、中国大使館で「個別の11人」と名乗るテロ組織による人質立て籠もり事件が勃発する。彼らの要求は、アジア招慰難民受け入れの即時撤廃と招慰難民居住区の完全閉鎖だった。公安9課の面々が再び集合する。今度の敵は個人か国か社会か!より大きな舞台で9課の活躍が始まる。

 ゴールデン・ウィークの4日間を使って観ました。このTVシリーズは素晴らしい内容です。

 特に、東北大震災の後に見ると、新宿に原発があるという皮肉な設定が現実に迫ってきます。米帝と呼ぶアメリカとの関係や、招慰難民というありえそうな二級市民の存在が日本のいかにも遠くない未来に起こりそうな事象として描かれていてその見事に練られたすぐれた脚本に感服します。日本の最高のクリエーターの才能は、アニメ業界に集まっているようです。

 この設定は、『パトレーバー』の劇場版のPart2に似通ったところがあって、日本の独立に関して制作者が抱いている危機感がテーマになっている訳で、押井守がストーリーコンセプトに参加していることがこの世界観を生み出しているのだと思います。国家とか天下とか革命とかクーデターとかが好きなんですよね。『パトレーバー』では何も起きなくてしのぶさんが元の恋人に会っただけなんですが、この作品はちゃんと事が起こって上手く話になっています。

 素子も初恋の人に遇った様だし、素子の想い人はあんなカリスマ性のある大志を抱いた男なのかと納得しました。タチコマの活躍のお陰で素子はネットの海に行かずにすんだし。それだと劇場版と同じになってしまいますから。テレビは続かないとね。

 弟子の神山監督らが絶妙な脚本にしてストーリーにまとめています。逆に押井守が脚本を担当したらこんな風に上手くいかなかったのではないでしょうか。