無常 [DVD]/田村亮,司美智子,佐々木功

¥4,935
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琵琶湖近くの旧家、日野家の長男正夫は、大阪で問屋を経営し、ゆくゆくは正夫を後継ぎにと考えている父親亮吉の意に反して、大学へも行かず、ただ仏像の魅力にとりつかれていた。美しい姉の百合は、なぜか父母のすすめる縁談に耳をかそうとはしない。そんな百合に日野家の書生、岩下や百合の同窓生で、今は寺の若い僧侶、荻野は熱い慕情を抱いていた。
ある夜、知り合いの結婚式に両親が上京、岩下も実家に帰って、広い屋敷に二人きりになった百合と正夫は、お能遊びの末、いつしか狂おしく抱擁し合った。怖れおののく姉に「二人がこうなるのが一番自然なんや」と正夫は激しく肉体をぶつけた。(goo映画より)
実相寺監督といえば、ウルトラマン・シリーズの演出をしたことで有名な方ですね。実写映画を見たのは2本目で、過去には『あさき夢みし』しか見ていません。とても暗い画面の映画だったのを覚えています。なんだか原作の『とはずがたり』とかけ離れた雰囲気の話になっていました。
この映画、構図がとてもこっています。白黒で日本家屋の白壁や黒い板塀の間を新幹線が疾走するなどして現代の話なんだと思い出させるような。それでなければ、1970年制作とはなかなか感じられないだろうなと思います。
ストーリーとしては、因果応報とでもいうように、正夫の人倫を完全に無視した行動が地上に地獄絵図を招来するというような構成になっているのですが、これは、1970年と言うまだまだ古い社会規範がしっかりしていた時代なので「無常」を描くのにそのような構成にせざるを得なかったというようなある種の時代感があります。今見るとそういう因果がある感じが古いのですよね。
女がとても嫌らしく描かれています。特に姉の百合が能面をとってもお面ののようなあの時代の細眉で美しいと言うより嫌らしい感じ。仏師の後妻の表情も。
また、映画のなかで宗教論争が聞けるという日本映画としてはとても珍しい経験が出来ます。なかなかあんな答のないような本格的な論争は映画のなかに出てこないですね。日本映画では。日本人は感覚的にすぐれた民族ですから、あまり分析的でない人が多いんですよね。
最後に正夫の夢の?シーンに出てくるお婆ちゃんの菅井きんさんが掘っている鯉の作り物。あれは、恋が形を変えた姿かなと思いました。鯉の腹を切り裂くとたくさんの表面にお経を書いた小石が出てくる。それらの石が一つ一つ亡くなった人たち。
「"恋"に食われたものは、成仏できずにあの世とこの世の彼岸に埋もれる。」なんてねと思いました。

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琵琶湖近くの旧家、日野家の長男正夫は、大阪で問屋を経営し、ゆくゆくは正夫を後継ぎにと考えている父親亮吉の意に反して、大学へも行かず、ただ仏像の魅力にとりつかれていた。美しい姉の百合は、なぜか父母のすすめる縁談に耳をかそうとはしない。そんな百合に日野家の書生、岩下や百合の同窓生で、今は寺の若い僧侶、荻野は熱い慕情を抱いていた。
ある夜、知り合いの結婚式に両親が上京、岩下も実家に帰って、広い屋敷に二人きりになった百合と正夫は、お能遊びの末、いつしか狂おしく抱擁し合った。怖れおののく姉に「二人がこうなるのが一番自然なんや」と正夫は激しく肉体をぶつけた。(goo映画より)
実相寺監督といえば、ウルトラマン・シリーズの演出をしたことで有名な方ですね。実写映画を見たのは2本目で、過去には『あさき夢みし』しか見ていません。とても暗い画面の映画だったのを覚えています。なんだか原作の『とはずがたり』とかけ離れた雰囲気の話になっていました。
この映画、構図がとてもこっています。白黒で日本家屋の白壁や黒い板塀の間を新幹線が疾走するなどして現代の話なんだと思い出させるような。それでなければ、1970年制作とはなかなか感じられないだろうなと思います。
ストーリーとしては、因果応報とでもいうように、正夫の人倫を完全に無視した行動が地上に地獄絵図を招来するというような構成になっているのですが、これは、1970年と言うまだまだ古い社会規範がしっかりしていた時代なので「無常」を描くのにそのような構成にせざるを得なかったというようなある種の時代感があります。今見るとそういう因果がある感じが古いのですよね。
女がとても嫌らしく描かれています。特に姉の百合が能面をとってもお面ののようなあの時代の細眉で美しいと言うより嫌らしい感じ。仏師の後妻の表情も。
また、映画のなかで宗教論争が聞けるという日本映画としてはとても珍しい経験が出来ます。なかなかあんな答のないような本格的な論争は映画のなかに出てこないですね。日本映画では。日本人は感覚的にすぐれた民族ですから、あまり分析的でない人が多いんですよね。
最後に正夫の夢の?シーンに出てくるお婆ちゃんの菅井きんさんが掘っている鯉の作り物。あれは、恋が形を変えた姿かなと思いました。鯉の腹を切り裂くとたくさんの表面にお経を書いた小石が出てくる。それらの石が一つ一つ亡くなった人たち。
「"恋"に食われたものは、成仏できずにあの世とこの世の彼岸に埋もれる。」なんてねと思いました。