ゲゲゲの鬼太郎 60’s1 ゲゲゲの鬼太郎 1968[第1シリーズ] [DVD]/野沢雅子,田の中勇,大塚周夫

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1968年 - 1969年放送。唯一のモノクロ作品。鬼太郎初のアニメ作品。原作のグロテスクさや下ネタ、社会風刺の部分を抑えた以外はほぼ忠実に映像化した。人間に災いをもたらす妖怪を鬼太郎が人間の側に立って倒す勧善懲悪型のストーリーが中心で、鬼太郎の性格も原作より更に親しみやすい善の個性となった。全65話。

 NHKのテレビ小説でやっている『ゲゲゲの女房』を会社でお昼に見ているので懐かしくなって借りて来て見ました。

 覚えているストーリーはほとんどなかったけど、「大海獣」の前後篇は、大海獣に変身させられてしまった鬼太郎が元の姿に戻れるのか手に汗握って見てました。そこは覚えていた。

 水木しげるは、アニメの絵柄を観ていてもわかるように、手塚治虫の影響を受けて漫画を描き始めた漫画家ではありませんね。もともと紙芝居作家だった方です。ですので、手塚作品の亜流がほとんどを占めていた漫画界で、異質の個性をはなつ独特の世界を描ける漫画家だったわけですね。

 人気のある漫画でも、その個性故になかなかアニメ化できなかった。「墓場の」というタイトルが問題だったことは有名なエピソードです。しかし、「ゲゲゲの」に変えてテレビ放送したその作品は、東映動画の力の入りぶりを伺わせるに十分な出来栄えです。引き合いに出すのは申し訳ないですけど、「鉄腕アトム」などに比べてはるかに画が動いています。アニメは、止まった画を多用すれば製作費は安くなりますから、お金をかけていたわけです。

 子供たちに受けた理由は、主題歌に現れていますね。

「ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲー

 朝は寝床でグーグーグー

 楽しいな、楽しいな、

 お化けにゃ学校も試験も何にもない。

 ゲッ、ゲッ、ゲゲゲのゲー

 みんなで歌おうゲゲゲのゲー」

 高度成長期の工業化社会の将来の担い手になる子供たちに与えられた学校教育と言うのは、それ以前のものに比べて、長く厳しい物で、社会が豊かになるにつれて上級学校への進学競争も激化していきましたから大変です。近代の学校のモデルは「軍隊と刑務所」だと言われいます。

 そういう学校制度に組み込まれていた子供たちに、日本の民俗文化を色濃く持った情念の世界が癒しを与えていたのだろうなと思います。

 また、こういう作品があったことが日本の漫画の世界を豊かな物していたのだなと思います。