no世界経済が回復するなか、なぜ日本だけが取り残されるのか/野口 悠紀雄

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 この本を読むと日本の前途が暗澹たるものに思えて来ます。


 トヨタは、すでにGMの轍を踏み始めている。エコカー減税やエコポイントなどを使って自動車や家電の需要を税金で喚起し、かつ製造業に雇用助成金まで出して、前からも後ろからも、すでに役割を終えた重厚長大な製造業を助けるのは一種の社会主義化であり、日本は将来間違いなく貧乏になる。

 なぜリーマンショックの前までトヨタが最高益を上げていたのかと言えば、アメリカ人が住宅ローンの浮いたお金で、円安で3割お得の日本車を買いまくったから。日本の製造業はサブプライムローンで恩恵を受けていたわけです。そのアメリカの需要がなくなったので日本の製造業は、奈落の底に落ち込んだ。

 日本人の高い賃金で製造業をメインにする経済はもう成り立たないので、産業構造を変換していかなくてはならないけれど、製造業にテコ入れしていては、彼らを温存し、問題を先送りしてしまう。

 この分析、かなり正鵠をうがっていると思います。

 前に上げた、リチャード・クーの「バランス・シート不況」だけでは、他の国の経済が日本より早く回復している状況を説明できないですから。

 愛知県に住んで言うのもなんですけど、もの作りにこだわるのはいい加減にして、新しい仕組みや枠組を作りだしていかないと日本の将来は、人口減少と共に先細っていきそうです。

 野口先生はダイヤモンド・オンラインなどにも執筆してますね。