長谷川和彦『太陽を盗んだ男』

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　中学校の理科教師・城戸誠（沢田研二）は、茨城県東海村の原子力発電所から液体プルトニウムを強奪し、アパートの自室でハンドメイドの原爆を完成させた。そして、金属プルトニウムの欠片を仕込んだダミー原爆を国会議事堂に置き去り、日本政府を脅迫する。

　１９７９年の作品。昔ヴィデオで観た記憶があったのですが、今回見てみてこんなアクションいっぱいの映画だったけかと記憶の不確かさに驚きました。でも面白かったです。

　原爆が使われているからと言って、特に思想的な何かがあるということもありません。

　こういう脅迫物のサスペンス・アクションって日本映画の得意なジャンルだなと思います。『天国と地獄』とか『新幹線大爆破』とか、結構傑作が思い浮かびます。

　この映画での見どころは、沢田研二の演技。凄いはまり役。まだ３０歳ぐらいの若いジュリーなので体型も細くてさえない中学の理科の教師としては綺麗すぎるんですが、映画ですからね。こうじゃなきゃお金払って見る価値ないですもの。

　すでに３０年前で、欲しい物がわからないという高度資本主義と犯罪者の側に立ってメディアが実況するという異常さをを描いていたわけで、この映画の中の犯人がサラ金に借りる５０万円という金額と都民の身代金として要求する５億円に現在と貨幣価値の隔たりを感じないのをみると、経済成長期はとっくの３０年前に終わってたんですね。

　不満があるとするなら、長すぎること。１４７分は、長い。これは、菅原文太さんのファンには申し訳ないけど、文太さんの出番が長すぎるんですよね。これを上手く刈り込んで、１３０分にしてほしいなと思います。はっきり言って、文太さんがヘリコプターから堕ちるシーンなんて余計です。

　皇居前広場でのバスジャックのシーンなんてよく撮れたなと思いましたけど、やはりゲリラ・ロケだそうです。