ザ・フェミニズム/上野 千鶴子

¥1,575
Amazon.co.jp

 大学の1年か2年の頃、フェミニストって「女の人に優しい男の人」の事だと思っていたんです。それが、大学のアメリカ人教師の英語の授業で"feminist"の意味は"the supporter of womens'liberation(女性解放運動の支援者)"の事だと習った時の驚きは、今でも忘れられません。

 その時の英語の先生は男でしたけど、20年以上前ですでにアメリカでは、"male chauvinist(男性優位論者)"は、"pig(豚)"と呼ばれるのがアメリカ社会の日常的風景だと怖ろしげな表情で語ってました。

 私、大学で聞けたフェミニズムに関する話はそれが全てで、まだ女性学なんて講座なかったし、フェミニズムがなんなのか知らなかったんですけど、この本でこのお二人のフェミニストが結婚制度を否定しているという事を知りました。テレビで田嶋先生が「旦那のパンツを洗わされてる可哀そうな女・・・。」云々おっしゃってるので、家事を男ももっとやれという話かと思ったら随分違いました。

 上野千鶴子さんの結婚の定義:「自分の体の性的使用権を生涯にわたって特定の異性に対して排他的に譲渡する契約のこと」うーん、すごい。

小倉千加子さんが心理学者として次のように答えています:「永遠の愛を誓うほど人間は不誠実であってはならない」

 私これはよくわかる。結婚は不誠実な人々が支える制度だというのはよくわかります。

 結婚制度を守りたいと言うのは、これまでの慣習を守っていきたいという保守の思想でしょうけど、「弱い人の自己防衛」だと上野さんが言ってます。

 世の中弱い人は、男も女も多いと思うので、このお二人の理想と言うか「フェミニズム」が日本の社会で正面から受け入れられることはないだろうな、と思います。

 でも、「フェミニズム」の敵とも言うべき家父長制というものは、家父長制を支える筈の専業主婦志向の女性たちが高望みをして結婚せず少子化社会になっていっていることによって、滅びつつある。この恐怖の逆説が、どうも日本の社会を変えて行っているようだと、お二人は指摘しています。

 これ一度読んでみるといい本だと思います。文庫も出ているのですけど、単行本の方の画像貼りましたのは、絶版になっているのに、マーケットプレイスに1円の古本がたくさん出ていたからです。図書館にもあると思います。

 この「フェミニスト」の両巨頭の小母さん同士の対談が関西弁の掛け合い漫才風で、難しいインテリ用語も出てはきますが、かなり面白いし読みやすいです。


 そして、図らずも、もしかしたら私ってフェミニストだったのかもと思いました。「自由」が一番大事だと思うのはルームに書いたとおりだもの。