サイボーグ009 怪獣戦争 [DVD]/太田博之,ジュディ・オング

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超音波を放つ巨大な怪獣プレシオザウルスが次々に豪華船を襲ったため世界中が大混乱に陥った。ギルモア博士は直ちにサイボーグたちを全世界から召集、怪獣に対することになった。博士は怪獣が世界征服を企むブラック・ゴースト団の新兵器だと見抜いたのである。001から009までのメンバーは対超音波砲を備えた船で太平洋のグルカ島に出発したが、その中にかつて009が事故から助けたヘレナが密かに乗っていた。

 『サイボーグ009』の翌年(1967年)に作られた続編。これについては、作画レベルの低さを度外視すれば、今見ても傑作と呼べるのではないかと思います。

 これは、ひとえにキャラクターデザインも魅力的なヘレナの人物像にかかっています。

 『サイボーグ009』が自分たちの創造主を裏切るところから始まるように、サイボーグ009には裏切りと言うのが一つの大きなテーマになっています。裏切りというのは、非常に人間的な行為なのですよね。ロボットに裏切りと言うような真似はできませんから。サイボーグという概念を漫画の世界に持ち込んだ石森章太郎の天才ぶりがわかる設定です。

 ヘレナの裏切りには、女性が戦士として密かに心ひかれる009と戦うように男性の敵役にはない複雑さが加わっています。最後は良心に従って命を懸けてサイボーグ達を助けるわけで、これだけ活躍するヒロイン像を1960年代に子供向けアニメでやっていた日本の女性の地位ってなんだったんだろう。決して日本の女性の地位が低かったとは言えないのではないかと感じます。そのあたり本当に不思議な国なんですよね。

 ただ、今は使えないセリフだなと思ったのは009がヘレナに言う台詞。「女の子は女の子らしくした方がいいよ。」

 「女の子には女の子らしくしてほしいな。」だったら、OKかな。ジェンダーフリー教育が行われている今では・・・。

 ヘレナの声をやっているのが、またまた市原悦子さんなんです。なんで市原さんて、実写でも声優でも、こんないい役がやれるの。

『怪獣戦争』というタイトルですけど、東宝がさかんに円谷監督の怪獣映画を作っていた時期なので怪獣人気に便乗したのでしょうけど、あまり怪獣は活躍しません。