世にも怪奇な物語 [DVD]/ジェーン・フォンダ,ピーター・フォンダ,アラン・ドロン

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1967年に制作されたエドガー・アラン・ポーの原作短編小説3編を仏・伊の有名監督がそれぞれ監督した傑作怪奇オムニバス映画。

Ⅰ、ロジェ・バディム「黒馬の哭く館」-メッチェンゲルシュタイン伯爵家の令嬢フレデリック(J・フォンダ)は二十二歳の若さで、莫大な財産を相続した。気まぐれでわがままな彼女に、誰もいいなりになっていたが、近くに住むベルリフォジング男爵家のウィルヘルム(P・フォンダ)一人は軽蔑のまなざしだった。ある日森の中でウィルヘルムが仕掛けた罠に馬を下りたフレデリックが足首をはさまれのがきっかけで二人は知り合った。

Ⅱ、ルイ・マル「影を殺した男」-ウィリアム・ウィルソン(A・ドロン)はサディスティックで冷酷で狡猾だった。が、彼と同姓同名うりふたつの男があらわれいちいち彼の悪事の邪魔をした。

Ⅲ、フェデリコ・フェリーニ「悪魔の首飾り」-トビー・ダミット(T・スタンプ)は、かつては名声につつまれていたが、アルコール中毒がたたり、二年ばかりは仕事もない落ち目のイギリス人俳優。そんなとき、イタリアから新車のフェラーリを報酬に映画出演の話が来て、彼はイタリアにとんだ。テレビのインタビューがありそしてイタリアのある賞の受賞式にゲストとして出席した。トビーは疲れと得体の知れない不安から、酒を飲み続けた。彼は逃げるように会場を出ると、フェラーリを走らせた。

 3つ、見比べたとき、初級、中級、上級みたいに並んでるんですよね。この3作品のどれが好きかで、映画の観賞力が測れるみたいなところがありますので、若い時にみて、Ⅰがいいと思ったら、10年後ぐらいにまた見てみるといいと思います。

 わたしが子供の頃、テレビで盛んに放送されて何度も見ていたのですが、そのころ好きだったのはⅡの「影を殺した男」でした。ちょっと、ませたガキだったんですね。ルイ・マルはヌーヴェル・バーグの監督として有名ですけど、この映画ではさほどエキセントリックな演出はしていません。わかりやすい作品ですし、映画にするのに適した魅力的な短編ですね。

 やはりこの映画のトリをつとめたフェリーニの作品は、他の二人とは違うレベルというのが大人になって見た私の偽らざる感想。

 フェリーニって、あっさり物好きの日本人には濃厚過ぎてあまり一般的には好まれていないという感じですけど、世界的に見ると映像作家として大変な評価のある映画監督です。

 この映画でも、白いマリの少女だの、通りで巨大なライトを引っ越しさせてる下をフェラーリで突っ切るだの、また車の運転席から夜道をヘッドライトが照らす光景だの、後の映画監督達が真似しただろう魅力的な映像が満載。

 また、トビー・ダミット役のテレンス・スタンプの演技が素晴らしいです。多分こののちこういう役がこういう風に演じられるようなお手本を作ってしまっただろうと思われる極め付きの演技。


 テレビ・シリーズの「世にも奇妙な物語」の原型となった作品といえば、わかりやすいかなと思います。