ライオンと魔女(ナルニア国ものがたり(1))/C.S. ルイス

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 私が小学校高学年のころにお世話になった、ナルニア国シリーズの第1巻目。

 戦乱を避け田舎に疎開したペベンシー家の4人きょうだいは、疎開先の古い屋敷の空き部屋にあった衣装ダンスから別世界の国・ナルニアに引き込まれる。そこは魔法が生き、けものたちがしゃべり、神話的生き物や妖精の住む世界であった。子供たちは不思議なライオン、アスランに導かれてナルニアを支配する白い魔女から住人たちを解放しようと奮闘する。

この作品の素晴らしさは異世界へ洋服ダンスの扉でつながるというこのプロットだったのではないでしょうか。毛皮の外套がいっぱい下がった大きな洋服ダンスの中に入っていくと雪のふる森に出るという情景に子供頃の私は本当に夢中になりました。

何故だか、その森の中に入っていき降る雪を頬に感じるような不思議な気分を味わっていました。これは、思春期を迎えつつあった年齢ならではの体験でこのように文学作品を味わったことは後にも先にもなかったと思います。

食べ物の描写もとても美味しそうで、読んでいてとても楽しかった。



 ところが、最近実写映画になったのを機会に作品を読み返して見ましたところ、一体この物語のどこがそんなに面白かったのかわからないという体たらくなのです。

年をとって知識を得ると、これはキリストの復活劇の焼き直しなのだなとか、わかる自分が嫌ですね。子供のころにはそういうキリスト教に関する知識もなかったので素直に感動していたんですね。

 子供の頃に読んで感動した本は年取って読み返さない方がいい場合もあるという(私の場合)例となりました。まあ、児童文学ですからね。