太陽がいっぱい [DVD]/アラン・ドロン,マリー・ラフォレ,モーリス・ロネ

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悪友フィリップ(モーリス・ロネ)を、彼の父親の頼みで連れ戻しに来た貧乏な若者トム(アラン・ドロン)。しかし放蕩息子であるフィリップは父の元へ戻る気はなく、親の金で遊び回っていた。トムはフィリップの金目当てに彼と行動を共にし、トムはフィリップを殺して彼になりすまし彼の財産を手に入れようという計画をフィリップに知られ、詰め寄られたあげく彼を殺してしまう。死体を海に捨てた後、トムはフィリップになりすまして彼の財産と恋人のマルジェを手に入れようと画策し、計画は成功したかに見えたのだが…。

 1959年、ニーノ・ロータの名曲とともに世界的に大ヒットした。

 一流の監督が撮ると、単なるサスペンスがそうでなくなるから不思議だ。この映画自体は、なんの賞も撮っていないのだが、ルネ・クレマンは、カンヌのグランプリやアカデミー賞外国語映画賞などを取った一流の監督。

 特に最後の十数分でマルジュの愛を獲得し、かつ殺人がばれるという成功の絶頂と破滅が同時に来るトム・リプリーの青春を哀しく表現して、サスペンスというより青春残酷物語という感じに作品を締めくくっている。そのスタイリッシュなこと。

アラン・ドロンがこのトム・リプリーを演じているのだが演技というより素のまま言う感じ。こういうちょっと野心的で卑しい若者というのがアラン・ドロンの役どころにぴったりしているのだろう。マルジュを濃い青い目で上目づかいに見つめるところは彼の役どころを非常に上手く表現しているシーンだと思った。他人の人生(その財産や恋人)を奪わなくてはと考えるような若者の欠乏感が良く出ている。

 
 この映画について亡くなった淀川長治氏が「フィリップとトムの同性愛を表現したものだ。」と発言していた。トムの方からは金と女でしょう。もしかしたらフィリップの方は、トムを愛していたかもしれませんね。ということであまり賛成する人はいなかったようだ。ただ、ご本人の嗜好性が評論に出てしまうというのはよくある話で、気をつけたいですね。