『勧進帳』についで上演回数の多い演目と言えば、間違いなく『娘道成寺』でしょう。特に若手女形の襲名披露公演となったらほとんどこれという感じの演目です。これは、バレエで「白鳥の湖」のオデットが踊れないプリマがありえないように、道成寺の花子が立女形の必須科目にあたるということでしょう。

私の独断では「恋の手習い」が「白鳥」の第二幕オデットと王子のアダージョにあたるのかなと思うわけでして、ここでの叙情性が見どころの一つだと思います。若手の女形の方の場合には将来を占う意味で特にじっくり見たいものです。

もちろん子供のときから厳しい訓練をつんだ歌舞伎役者さんですのでそんなおかしな踊りを見せることはまずない筈ですが。

 振付は体力のいる激しいものですので、若い役者さんの体をきちんと使った踊りを観て、また人間国宝級の方の芸格で見せる踊りとの比較をするのも面白いものです。

『京鹿子娘道成寺(きょうがのこむすめどうじょうじ)』のほかに 『二人道成寺(ににんどうじょうじ)』『男女道成寺(めおとどうじょうじ)』『奴道成寺(やっこどうじょうじ)』などのヴァリエーションがあります。

安珍・清姫の故事にならったあらすじはありますが、最初と最後の部分以外の踊りの中身には関係ないので、日本舞踊のダンス・レビューとして見れば良いと思います。

DVDは玉三郎さんのものしかないようです。

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