今、Wikiを見たのですが原題が「Conversation pierce」になっていました。pieceでしょ。耳に穴をあけるわけじゃないんですから。困ったものです。

家族の肖像 デジタル・リマスター 無修正完全版 [DVD]

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ヴィスコンティの晩年の傑作です。最高傑作といってもいいのかも知れません。1974年のキネ旬1位。

 映画の始まりで、家族の肖像画(Conversation piece)を主人公の老教授(バート・ランカスター)が収集していることが映像で示されるので、この人は孤独に暮らしていながら家族に執着しており、仲良く暮らす家族がこの教授の見果てぬ夢なのだということが分かりる。

そこへ部屋を借りたいと言って現れたビアンカとその一家が彼の孤独だが平和な生活を一変させる。特にヘルムート・バーガー演ずるコンラッドは、彼に独特の印象を与え、博打や麻薬所持などの問題行動をおこす存在でいながら、老教授を引きつけていく。そして右翼青年に襲われたコンラッドを教授は自分の息子のように献身的に介抱する。

コンラッドの悲劇的な死のあとに教授を「父」と書いた遺書を読み、老教授は衰えたように死の床につき何者かの足音を聞きながら亡くなる。


 悪事を働いたとしても息子であれば取り替えることはできない。教授はコンラッドに父親のような愛情を注いだ。そしてコンラッドもそれに応えた。人間にとって家族とはなにかを、見事に示している。

家族にとって重要なのは、決して血のつながりではない。人間が成長して最初に作る家族は配偶者という血のつながらない人間なのだ。そしていったん家族になったとしても理解し合えなくなることも多い。家族であることを継続できなくなることも多いのだ。そのことを二人の死で現わしたのだと思う。


 遺作(最後の作品は『イノセント』)といってもよいこの作品で、こういう誰にも共通する普遍的な家族という問題を提示してくれました。ヴィスコンティは常に人間の本質的な部分から目を離すことのない優れた映画監督だったと思います。

 ルキノ・ヴィスコンティ(1906~1976)はイタリアの映画監督。1943年に『郵便配達は二度ベルを鳴らす』で映画監督としてデビュー。その後、『山猫』『地獄に堕ちた勇者ども』『ベニスに死す』『ルートヴィヒ』など数多くの名作を残しました。