妻を殺されそのショックから10分間しか記憶を保てないという記憶障害を抱えることになった主人公レナード・シェルビーが、妻を殺害した犯人を探す過程を描いており、ストーリーを終わりから始まりへ、時系列を逆向きに映し出していく。

 

 “メメント” は、ラテン語で「記憶」の意味。

 

 現代的な意味で、記憶の本質を描いているといえる映画ではないか・・・。クリストファー・ノーランって、やっぱ凄いわと思います。

 

 ひと昔まえに、アメリカで催眠療法というのが流行った時、非常に幼少のころに親から性的虐待を受けたという記憶を呼び起こして、それで実際に実の親を刑事告発して刑務所に入れてしまうという事件が多発したことがありました。その際、高名な女性の精神科医の方が警告を発し、催眠療法で思い出す記憶と言うのは成長のあと作られたものであり、刑事事件の証言となるような信頼性はないと警告したところ、盛大なバッシングを受けたことがあったそうです。

 

 アメリカ人は、世界で最も妄想的な人種なのです。アメリカ人の大好きな「なりたい自分になれる。」という思い込みが、そもそもとても妄想的なんだよね。

 

 主人公の最後のセリフ、“We all need mirrors to remind ourselves who we are. I'm no different.”(記憶は自分の確認のためなんだ。みんなそうだ。)

 

 人間は、現在の自分に都合がよいように記憶を書き換えるということを日常的に行っているということを忘れないようにしなければ・・・。