天国から来た大投手 十三、最後の一球 243 | 六月の虫のブログ

六月の虫のブログ

ブログの説明を入力します。

ワールドシリーズ前日、日本から裕香達が取材にシカゴを訪れた。彼女達は、インタビューする為に森次郎とホテルで待ち合わせた。森次郎がロビーに姿を見せると、ディレクターが笑顔で森次郎に歩み寄ってきた。森次郎は、ディレクターと抱き合い、他の取材クルーとは一人一人と握手した。裕香とはアメリカ式のあいさつ、彼女の頬に軽くキスをして抱擁した。横にいる浩輔は裕香を嬉しそうに見ている。ホテルの部屋でインタビューを終えると、皆で食事に行った。

 乾杯の後、ディレクターが「モリ、高校野球の神奈川県大会から君を取材させてもらっているけど、甲子園で優勝したこと、アメリカへの留学、アメフトでの活躍とネイサンとの友情物語、そして大リーグ入り、これだけでもすごいと思う。それがワールドシリーズ初戦の先発投手に指名されるとは…君には本当に驚かされるよ」と森次郎を見た。「僕は、自分が好きなことをただ一生懸命やっているだけです。池崎監督、野島監督、アメリカのヤング・コーチやミスターZ、それにチームメイト達など素晴らしい人達に恵まれたからですよ。もちろん、ネイサンやまわりの人達にも力をもらいました。それに上の人にも」と天井を見上げ、「僕は幸運な人間です」と答えた。「モリ、あなたには才能も素質も備わっている。それに、どこの誰にも負けないくらいの熱意を持っている。あなたには人を惹きつける何かがあるのよ」とビールを片手に裕香が絶賛した。

裕香は相変わらずビールを飲むスピードが速い。森次郎は、酔った裕香に圧倒された。裕香はこの取材を相当楽しみにしていたようだ。森次郎に絡む裕香を見て「佐々木アナは、松原投手と吉野君を重ね合わせて見ているのでしょうか」とカメラマンがディレクターに言った。裕香は「そんなことないわよ。モリは確かに松原二世といわれたこともあったけど…」と割って入った。




ソックスをサポートするシカゴの夜景(ウィキペディアより)