天国から来た大投手 十二、ワンダーボーイ 215 | 六月の虫のブログ

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森次郎とジュディはシカゴのサウスサイドにあるUSセルラーフィールドに向かった。入り口で警備員に名乗ると、広報担当が迎えに来てくれた。二人は監督室に連れられて行った。部屋に入ると、ギーエン監督が握手を求めてきた。森次郎は自己紹介の後、ジュディを紹介した。ジュディを連れて行くことは、広報担当が許可してくれていた。監督が「ヨシノ」と言いかけると、森次郎はモリと呼んでくれるよう言った。監督もオジーと呼んでくれと言い「モリ、別嬪の彼女じゃないか」とスペイン語訛りの英語で言った。監督は「とにかくミネソタが負けないから、我らも負けられない。ニューヨーク(ヤンキース)も同じ状況だ。今夜からの三連戦、三連勝したいと思っている。なにしろ、さっきも言ったけどミネソタが負けないからな。モリ、明日は七回までゲームを作ってくれよ。スカウティング・レポートは見てくれたと思うが、A・ロッドとジアンビー、そしてシェフィールドは要注意だ。じゃぁ、グランドで会おう」と言って、二人に握手をした。ジュディは「ジーターと松井にも気を付けてね」と囁いた。

森次郎はロッカールームに入った。ジュディは着替えるまで、前で待っている。彼女は森次郎のユニフォーム姿を見てからスタンドに行きたいらしい。森次郎がロッカールームに入った時、ほとんどの選手は既にグランドに出ていた。森次郎が自分のロッカーを見つけるとバッグを椅子に置き、ロッカーにかかっているユニフォームを見た。背番号は三十九。森次郎が早慶高校のフットボール部で付けていたものと同じだ。「君がヨシノか」と背後から問い掛けられた。森次郎が「イエス」と言って振り向くと、「でかいなぁ。俺はA.J.ピアジンスキー。君のボールを受けることになっているキャッチャーだよ。A.J.と呼んでくれ」と自己紹介した。森次郎は握手をしながら「A.J.、僕は大リーグの選手のことはほとんど知らないので、失礼があったら許して下さい。アメフトなら知っている選手もいるのですが」とすまなそうに言った。A.J.は「気にするなよ。うちの選手で全国区なのはトーマスくらいだから、それに彼は今、怪我で休んでいる」と微笑んだ。「明日の登板前に、ヨシノ、君の持ち球を確認しておきたいから、準備ができたらブルペンに来てくれ」。森次郎は「A.J.、僕のことはモリと呼んで下さい」と付け加えた。森次郎がユニフォームに着替えて部屋を出ると、ジュディは「ホワイトソックスって感じ。ジャイアンツではないのは確かだわ。でも似合っている」とキスをした。




           A.J.ピアジンスキー(フリー画像より)