十六歳のアメリカ ベースボール 三一、シーズン開幕 114 | 六月の虫のブログ

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 次にバッター・ボックスに立ったのは、デビのボーイフレンドのブライアンだった。彼は、ハーシャー高校の主力打者らしい。ボクは深呼吸して、ゲイリーのサインに目をやった。サインは、カーブだった。ボクが首を振ると、ゲイリーはファスト・ボールのサインを出した。ボクは振りかぶって、思い切り投げ込んだ。ブライアンは初球から積極的に打って出た。彼の打ったボールは、セカンドの頭を越え、ヒットとなった。宿敵、ブライアンにヒットを許したものの、悔しさはなかった。ボクの気持ちは、既に次の四番バッターへ向かっていた。ゲイリーの要求はカーブだった。今度は彼のサインにうなずき、八分の力で投げ込んだ。バッターは打ち気満々でバットを振り回したが、空振りしてワン・ストライク。二球目はファスト・ボールを見送って、ノー・ツー。ボクは三球勝負だと思い、ゲイリーのサインを覗き込んだ。サインはファスト・ボール。ボクはセットポジションから一塁ランナーのブライアンを肩越しに見て、プレートを外した。ボクは、深呼吸して再びセットポジションに入り、クイック・モーションで第三球目を投げ込んだ。ボールは少し力んだせいか、やや高めに浮いた。バッターは、ボク以上に力んでいたらしく、高めのボール臭い球を空振りして、三球三振に倒れた。これで、スリー・アウト、チェンジ。ボクは一回の表を無難に切り抜けた。

 ベンチに戻ると、チームメイト達は「ナイス・ピッチング」と相手の四番バッターから三振を奪ったことを称えてくれた。ボクは図に乗って、ミスターZに初回のボクのピッチングについて感想を求めた。ミスターZは、一言、「ボールが高い」と厳しい言葉を吐いた。ボクはゲイリーにミットをもう少し低く構えてくれるよう言って、戦況を見詰めた。我がチームメイトは、相手ピッチャーの投球にタイミングが合わないらしく、三者平退で一回の裏の攻撃を終了した。




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