前回のつづきです。
http://ameblo.jp/junebugmaymolly/entry-11937217116.html
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数ヵ月後、私は彼を見つけた。またしても大音響で音楽をかけ、パーティーをやっていた。
「何をしているんだい?」と私はふたたび聞いた。
「やあ、前にも一度会ったね。ごらんのとおり、踊っているんだよ。この前と同じパーティーさ」と彼は答えた。
「他の人たちはどうして参加しないんだい?」と私はたずねた。
すると彼は、「おいおい、あんたの目にはあれはどんなふうに見えるんだい?」と言って、料金ブースの列を指さした。
「料金ブースに見えるけどな」
「だめだめ、想像を働かせなきゃ!」
「わかったよ、降参だ。君の目にはどう映るんだい?」
「直立した棺おけさ」
「何だい、それは?」
「いいかい。毎朝八時半になると、あの中には生きた人間が入る。彼らはそれから八時間死ぬんだ。そして午後四時半になったら、イエスによって死からよみがえったラザロみたいに、みんな息を吹き返して帰宅するのさ。彼らの脳は仕事をしている八時間は動いているふりをしているだけで、実際には活動を停止しているんだ」
私はすっかり驚いてしまった。この男は仕事に関して独自の哲学があるらしい。好奇心にかられた私はまた彼に質問した。
「君は違うらしいね?楽しそうじゃないか」
彼は私を見て、「そうくると思ったよ」と言った。そして「俺はいつかダンサーになるんだ」と言って管理棟を指さした。「あそこにいる俺のボスは、ダンサーになる訓練のための費用を支払ってくれているのさ」
一六人の人間が死んだような状態で仕事をしているかたわらで、一七人目の人間は、まったく同じ状況の中で自分の生き方を発見していた。私やあなたならおそらく三日とはもたない退屈きわまりない状況の中で、彼はパーティーを開いていたのだ。後に、昼食をともにしたとき、彼は私にこう言った。
「俺の仕事が退屈に違いないと、どうしてみんなが思うのか、理解できないよ。俺にはガラス張りのオフィスがある。中からはゴールデン・ゲート・ブリッジも、サンフランシスコも、バークレーヒルも一望できる。西側の旅行者の半分はわざわざここにやって来るじゃないか。俺は毎日ここまで歩いてやって来て、ダンスの練習をしているんだ」
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この話を読んで、どう感じましたか?
私には結構くるものがありました。