今読んでいる本、『ストーリーで学ぶ経営の真髄』(マーシャル・ゴールドスミス著)の中のチャールズ・ガーフィールド氏のストーリー、”踊る料金徴収人”が、すごくいい話なので編集なしで紹介します。
この話を読んで、私はすごく多くのことを学びました。
これ以上、何も申しますまい・・・。みなさんが何かを感じてくだされば幸いです。
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『ダンサーになる夢を持つ男』
高速道路の料金所を車で通る人は、料金ブースの中にいる人物と親しくかかわることになるだろうなどと考えることはない。あなたは料金を手渡し、つり銭を受け取ったら、そのまま走り去る。これは毎日無数に繰り広げられる、取るに足らないやりとりにすぎない。
それまでオークランドとサンフランシスコ・ベイ・ブリッジの間にある一七のすべてを、何千回となく通過してきた私だったが、一度として料金係と印象に残るような会話をした記憶はなかった。ところが一九八四年のある朝は、いつもと違っていた。
サンフランシスコで昼食をとろうと、私は車を走らせ、料金所に近づいていった。するとロック音楽が鳴り響いているのが聞こえてきた。まるでパーティーか、マイケル・ジャクソンのコンサートでも行われているような雰囲気だった。周囲を見回してみたが、窓を開け、音を鳴り響かせている車は一台もない。そこで料金ブースを見てみると、そのなかで男が踊っていた。
「何をしているんだい?」と私はたずねた。
「パーティーさ」と彼は答えた。
「他の人たちはどこにいる?」と言いながら、私は別の料金ブースに目をやった。他に踊っている人間はいないようだ。
「招待しなかったのさ」
もっといろいろ彼に質問したかったが、後続車が急いでいるらしくクラクションを鳴らしたので、私は走り去った。だが、もう一度この男に会いに来ようと心に決めた。この料金ブースにはどこか謎めいたものがあると、男の目を見て感じたからだ。
つづく
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