”おもてなし”っていう言葉が空しく聞こえる | 六月の虫のブログ

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 大手で有名な会社のレストラン、ホテルや旅館がメニューの”誤表示”、ほとんどの場合”偽装”のほうが的確な表現でしょうが・・・。


 私の実家が料亭と旅館なので、信じられないことが多いと思いました。


 まず、料理する食材とメニューを料理人が知らないということはありえません。多くの場合、食材は料理長が決めて、業者から仕入れます。大手の場合はそうではないかもしれませんが、料理人は食材の包装(袋や箱)を必ず見ますから、自分が仕入れていなくてもその食材が何かということは分かります。


 当店でも、野菜などは産地をきっちり表示しないと保健所から指導されます。ですから、野菜の産地を知らないということもありえません。


 「売上を伸ばせ」、「利益を上げろ」、「競合に負けるな」など、職人であるはずの料理人にもビジネス優先のプレッシャーがあったのでしょう。


 マネージメント(経営陣)が経理部の数字(”売上”や”利益”)や競合相手しか見ていない会社が多いということを痛感させられる事件です。


 誰も、お客様のほうを見ていない。


 私は、経理部の数字(”売上”や”利益”)や競合相手を分析するのは苦手です。私がやっていて楽しいのは、どうしたらお客様に気に入ってもらえて、買ってもらえるかを考えることです。残念ながら、これで商売がすべてうまくいくということはないのですが・・・。


 ”おもてなし”っていう言葉が空しく聞こえます。


 ずいぶん昔、昭和の時代です。私が留学先のアメリカから数年ぶりに帰国して、伊丹空港から大阪駅の前にあるホテルのレストランで食事をしたときのことです。


 そのレストランのウエイターの接客に感動して、チップをあげようと真剣に考えました。その後、日本でどの店に行っても、店員の接客に感動したものです。アメリカの接客とレベルが違うことを久しぶりの日本で実感しました。


 今から思うと、それが”おもてなし”だったんですね。


 今もこの”おもてなし”の心が日本にあるって、胸を張っていえますかねえ?


 どうでしょう、滝川さん?


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 この件で思ったもう一つのことは、”人の舌なんか当てにならない”ってことです。刺身やサラダなど生で食べない限り、料理は素材じゃなくて味付けなんでしょうね。


 一生懸命、地鶏やブランド牛を育てている人に失礼な話です。「あなた方が育てている鶏や牛なんて、味付けたら何の価値もないんだから」って言っているのと同じです。