十六歳のアメリカ Vol.202 | 六月の虫のブログ

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エピローグ


 ブレントが私にのどが渇いただろうと尋ねたので、私がうなずくと、ビールでいいかと言った。私は彼のオファーに思わずイエスと言ってしまった。私はイエスと言ってから、ピーターソンさんのほうを見たが、彼も私がビールを飲むことを気にする様子はなかった。ブレントも『刑事コジャック』に出てくる若手刑事にそっくりの男前で、彼はリビングルームにいる私にビールとグラスを持ってきてくれた。私がビールをグラスに注ぎ一口飲むと、ブレントが今度はタバコを勧めた。私は彼の差し出したタバコの箱から一本取り出して口にくわえた。なんという物分りのいい一家だろうと感動した。

 ディナーをご馳走になった後、ピーターソンさんとブレントと私は、キッチンテーブルに残り、ポーカーをすることにした。この頃には、私はすっかりピーターソン一家に溶け込んでいた。ポーカーも多少のお金を賭けてやることになった。ディーラーが好きなゲームを選べるのだが、私たちは主に『セブン・カード・スタッド』と呼ばれるゲームで勝負した。『セブン・カード・スタッド』とは、まずフェース・ダウンで二枚、フェースアップで一枚配り、強いハンド(手)の者からベット(賭け)していき、フェース・アップで六枚目まで配り、一枚配るごとにベットする。最後の七枚目はフェース・ダウンで、結局、四枚のカードが表を向き、三枚のカードが相手にとって未知のカードとなる。三人で三時間以上ポーカーを楽しんだが、ゲームはお互いに三ドルか五ドルの勝ち負けで終了した。

 次の日、ピーターソンさんは私を大リーグ見物に連れて行ってくれた。ピーターソンさんは大のドジャーズ・ファンで、スコアをつけながら彼らの試合をラジオで聞くそうだ。この日もピーターソンさんは、スコアブック持参で球場に出かけた。大リーグ見物から戻ってディナーを食べた後、三人は前の夜同様、キッチン・テーブルに居残った。


つづく・・・



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 セブン・カード・スタッド・ポーカー。楽しかった。保守的なイリノイの大人に比べ、非常に進歩的なカリフォルニアの大人たち。当時、イリノイの女の子達からあまり”汚い言葉(放送禁止用語)”を聞いたことはなかったが、カリフォルニアの女の子は結構口が悪かった。同じ国でも、カリフォルニアとイリノイは別物だった。



注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験をもとに書いていますが、フィクションです。