十六歳のアメリカ Vol.151 | 六月の虫のブログ

六月の虫のブログ

ブログの説明を入力します。

ベースボール


三二、勝負はこれから (つづき)


 このリード・カスター高校戦、味方の打棒がさらに爆発して、最終回を十四対二で迎えた。私の体力も限界に近づいているようで、投球ごとの間合いが長くなっていた。私は一球投げる度に、深呼吸をしてロージンバッグを握った。ミスターZも私のピッチングに力がなくなってきていることに気づいているようだが、初回の二点だけに抑えている私を最後まで投げさせてくれるようだ。

 最終回もツー・アウトを取って、最後のバッターを打席に迎えたとき、右手の握力はほとんど無くなっていた。打席のバッターが何番バッターなのかは分らなかったが、このバッターがこのゲームの最後のバッターになることを確信していた。私は振りかぶると、この一球で終わってくれと念じながら、もはやファスト・ボールといえるかどうか分らないような直球をゲイリーのミット目掛けて投げ込んだ。すると、バッターは念じたとおり手を出してくれ、サード・ゴロとなった。サードのチャチョが前進してボールを捕って、ファーストのクリスに送球した。私はアウトになるのを見届けると、深呼吸してベンチに向かって歩き出した。

 ベンチから最初に飛び出して、迎えに来てくれたのは、ミスターZだった。彼は三塁のファウル・ラインを越えたところまで出迎えに来てくれた。ミスターZは、”Super !” と言いながら、私に握手を求めてきた。これが、私のアメリカでの初勝利で、チームはこれでこのシーズン四勝目を上げた。試合の後、相手チームとグランドの真ん中で握手を交わしたとき、私と握手する相手チームのプレーヤーたちは一人一人、「ナイス・ピッチング」と言って私を称えてくれた。


 つづく・・・




六月の虫のブログ-2011091909400000.jpg


 試合が終わったときは、完全に暗くなっていた。我がチームメイトたちも喜んでくれたが、相手チームの選手たちに、「ナイス・ピッチング」と言われるとものすごく嬉しいものだ。

 練習だと、二百球投げてもそんなに疲れないのに、試合で百球投げるともうくたくたになる。この試合は、すごく疲れました。



注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。