ベースボール
三〇、練習試合 (つづき)
カーシャウ家に引っ越して間もない頃、平日だったがデイヴたちを家に招待した。カーシャウ家の地下室にはプール・テーブル(ビリヤード台)があったので、みんなでピザをつまみながら遊ぼうと思っていた。夕食後の八時に来るように言っていたけど、八時十五分を回ってもデイヴたちは現れなかった。高級住宅街にはよくあることだが、道が途中で行き止まりになっていたり、円になっていたり、非常に分りにくくなっている。その日学校で、デイヴには道順をしっかり教えたはずなのに、三十分立っても来ないので、迷ってその辺をくるくる回っているのだろうと思い、私は外に探しに出た。
ベースボールのウインドブレーカーを着て、辺りをきょろきょろ見渡していると、一台の車が私の前で止まった。車を見て、それがデイヴたちではないのはすぐに分った。車には若い大人のカップルが乗っていた。助手席の方の窓から女の人が顔を出し、私を手招いた。私が車の彼女の前まで行くと、運転席の男の人が私に、「どこかまで乗せてってあげようか」と訊ねた。私は「友達が道に迷ったと思って、探しているだけです」と彼らに説明した。するとその男の人は、私が困っていると思って声を掛けたということだ。普通なら声を掛けないが、私がマクナマラ高校のジャケットを着ているので声を掛けたらしい。彼は、マクナマラ高校の卒業生だった。私は丁寧に彼らにお礼を言うと、家に戻ることにした。
結局、その晩、デイヴたちは現れなかった。一時間以上道に迷って、探すのをあきらめて帰ったとのことだった。
つづく・・・
写真ネタがなくて、アップが遅くなりました。今日の大リーグ、我がホワイトソックスがイチローのいるマリナーズに圧勝しました。イチローも二安打打ったのでいい日でした。
注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験をもとに書いていますが、フィクションです。