十六歳のアメリカ Vol.101 | 六月の虫のブログ

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二七、カーシャウ家へ (つづき)


 チャックやデイヴも右手の薬指に大きな指輪をしていた。最初は気にも留めていなかったが、私にもその種の指輪の注文書が回ってきた。指輪の業者がカフェテリアに来ているので、昼休みに注文するようにとのことだった。私は業者にサイズを測ってもらって、石の種類を選んで注文書に書き込んだ。私は交換留学生ということで無料でこの指輪をもらえるらしいが、一般の生徒はこの指輪を七十五ドルで買わなければならない。当時の七十五ドルは大金に思えたが、みんな買っているようだった。指輪の石の色はマクナマラ高校のスクール・カラーのグリーンで、指輪の本体には校章と卒業年度、つまりクラスが彫ってあるとのことだ。クラス・リングと呼ばれるこの指輪は、十年生になったら注文するらしく、私の同級生たち(十一年生)は女の子も男の子もクラス・リングをすでに持っていた。

 リングを注文してからずいぶん経ったある日(一九七七年四月二十一日)、リング贈呈のミサが図書館で開催されるとのことで授業をスキップして図書館へ向かった。私以外の生徒はすべて十年生だった。校長のヤーノ神父のブレッシングの後、一人ずつリングを手渡された。これで、クラス・オブ・七九(The Class of ’79) は、学校に認められ、同じクラスのリングを持つことで一つに団結するのだ。リングを介したクラスの団結式みたいなものだ。同じ卒業年度を刻んだリングを持っているのはこの図書館に集まった同志だけなのだ。ちなみに、私のリングには七九ではなく、七八と彫ってある。私だけ、一年遅れの団結式になったわけだ。

 クラス・リングは、特別なものだ。男の子は自分の愛の証として、自分の一番大切なガールフレンドにクラス・リングを渡す。彼女はボーイフレンドから渡された大きなリングを鎖にくぐらせてペンダントとして首からかける。このように、クラス・リングは、恋人同士の団結にも使われる。


 つづく・・・




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 リングを贈呈するヤーノ神父(中央)。私もこの場所にいたんだよなあ。九年生、十年生を ”Under Classmen” と呼ぶ。十年生もこの日から、 ”Classmen” になるのかなあ?




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 クラス・リング。これは一九七七年度の卒業生のクラス・リング。私のクラス・リングは、大昔の大切な人に贈呈して、それっきり・・・。



注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。