十六歳のアメリカ Vol.88 | 六月の虫のブログ

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ニュー・ファミリー


二五、寒い冬 (つづき)


 大晦日、ロータリー・クラブの交換留学生として、ブラジルに留学が決まっているグレッグ・ワシントンがワドリー家を訪れた。彼を交換留学として世話をしていたのがワドリーさんで、私もロータリー・クラブのミーティングや交換留学生の集まりなどでグレッグと一緒だったので、彼のことはよく知っていた。グレッグは非常に優秀で、次の夏のブラジル行きを非常に楽しみにしていた。彼のお母さんにも、ミーティングで会ったことがあったが、非常に優しくていい人だった。彼は、ウエスト・ヴュー高校に通っていて、自宅も学校の近くにあった。

 この日、彼は私を彼の家で行われる大晦日のパーティーに誘いに来てくれたとのことだった。彼がその旨をワドリー夫妻に伝えると、二人は少し驚いたようだった。少し戸惑っているようにも見えた。まだ昼の二時過ぎだったが、彼は私を彼の家に連れて行き、パーティーの前に友達に紹介したかったらしい。すると、ワドリー夫人が、残念ながら私にはマクナマラの友達と先約があるとグレッグに伝えた。ワドリーさんも残念だけど仕方がないとグレッグの誘いを断った。ワドリー夫妻が、私への誘いに関して私の意見を聞く前に決断を下したのは、このときが初めてだった。確かに、この日の夜はデイヴの家に泊りがけで行く予定だったが、デイヴが私を迎えに来るのは五時半で時間は十分あった。もし、グレッグと一緒にカンカキーに行けば、デイヴもわざわざハーシャーまで雪道を迎えに来なくてすむ。また、デイヴも私も特にパーティーの予定はなかったので、食事の後、グレッグたちのパーティーに行くこともできた。そのとき、私は複雑な気持ちだったが、沈黙を守ることにした。結局、グレッグは少し雑談した後、カンカキーへ一人で戻って行った。


 つづく・・・


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 現在のカンカキー高校。生徒数1200人のマンモス校だ。グレッグが通っていたウエスト・ヴュー高校は、イーストリッジ高校と合併して、現在はカンカキー高校になっている。ライバル校が一つになるなんて、そのときはみんな複雑だっただろうなあ。



注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。