十六歳のアメリカ Vol.87 | 六月の虫のブログ

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ニュー・ファミリー


二五、寒い冬 (つづき)


 ワドリーさんの知り合いで、農場を持っているジョンソンさん一家とカウンティー・フェアに行くことになった。カウンティー・フェアとは、牛の品評会や子豚のレースといった催し物があり、野外でバーベキューを楽しむカウンティー(郡)の農民のお祭りだ。ジョンソンさん一家は大家族で、子供が六人もいた。年も六歳から十八歳までと幅広い。私がまず仲良くなったのは、最年少で六歳のメロディだった。最初に彼女の名前を聞いたとき、私は思わず”Beautiful Name!" とささやいた。その名前を聞いて『小さな恋のメロディ』のトレーシー・ハイドを思い出した。メロディも私になついてくれたらしく、カウンティー・フェアの会場では彼女は私について歩き回った。

 最年長で十八歳のデビに気がついたのは帰りのキャンパーの中だった。さすがのメロディも疲れたらしく、キャンパーに乗るとすぐに寝てしまった。ハーシャーに着くまでの約三時間、デビと私は彼女の進路や生い立ちについて、いろいろな話をした。十二年生で、私より一つ上の彼女は、卒業後、看護学校に行く予定だということだ。彼女は看護婦(看護士)になれば、一生仕事に困らないだろうと笑いながら言った。また、彼女の名字はジョンソンではなく、リンレーというらしい。彼女は、幼い頃にジョンソン家に引き取られて、育てられたということだ。彼女は、彼女の両親については詳しく知らないとのことだ。スコットの妹のシェリー(『馬小屋で』の彼女)もスコットと違う名字だったので、驚きはしなかった。彼女は、早く自立したがっていた。ジョンソンさん夫妻には、もうこれ以上負担をかけたくなかったようだ。

 

 デビにしろ、シェリーにしろ、どういう事情でジョンソン家やウィラー家に引き取られたのか知らないが、一般家庭で実の子と同様に育てられていて、彼女たちに影は感じない。それは、アメリカの家族のほうがドライな関係で、お互いにに自立心が強いからなのだろうか。確かに、アメリカ人の若い夫婦は、週に一、二回は女子高生に子守を頼んで、夫婦二人で食事や映画に出掛ける。子供も両親のプライベート・タイムに割り込むような野暮な真似はしない。もちろん、子供との時間もたっぷり持つが、夫婦関係を優先し、自分たちの人生を楽しむ。また、親だけでなく、子の方も自分の時間を大切にする。


 つづく・・・




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 カウンティー・フェアといえば、ジョー・ウォルシュの同名の曲を思い出します。ジョー・ウォルシュは、若い頃、アメリカの大統領に立候補したことがあります。落選しましたが、面白い人です。今はご存知の方もいると思いますが、『ホテル・カリフォリニア』で有名なイーグルズのメンバーです。



注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。