ハイスクールの一日
一六、美術の時間 (つづき)
ドーンにいつもくっついている女の子がいた。彼女の名前はリンダといい、一つ下の十年生だった。リンダは非常におとなしい子で、いつもドーンの隣にいてドーンと私の会話を黙って聞いていた。彼女もファラ・フォーセット・ヘアで、髪の色はブラウン、背は一六〇センチくらいで低い方だった。彼女の歩き方には特徴があった。歩幅は小さく、力強く、蟹股に歩く。最初は女の子が蟹股で歩く姿に驚いていたが、内股が由とされるのは日本ぐらいで、アメリカ人は気にしないらしい。
SAAダンスパーティーを一ヵ月後に控えたある日の美術の時間だった。SAAダンスパーティーは、唯一女の子のほうから、男の子を誘うダンスパーティーだ。ドーンとフットボールのスター、デニスが私のところにやってきて、SAAに行く予定があるのかどうか尋ねた。私がなぜそんなことを聞くのか尋ねても、彼らは理由を教えようとはしなかった。私は、先週知り合ったばっかりで、ハーシャー高校十二年生のデビ・リンレーとSAAに行く約束をしていたので、そう彼らに言った。彼らが私にSAAについて質問したのが、リンダのためだったということが判ったのは、パーティーの当日だった。彼女は私に好意を持っていてくれていたのだ。
マクナマラ高校のホームカミング・ダンスパーティー(写真)。マクナマラ高校では、結構頻繁にフォーマルなダンスパーティーがあった。ホームカミング、ハワイアンナイト、SAA、お父さんと娘のダンスパーティー、そして、プロム。みんな、こういうダンスパーティーを通して、成長していくのかな。
注意: 『十六歳のアメリカ』は、私の体験を基に書いていますが、フィクションです。