昔、京都の木屋町にみゅーずという名曲喫茶があった。
京都の西にある大学に在学していた私たちは
授業をさぼってよく名曲をききにみゅーずに来た。
コーヒー1杯で何時間でもたあいない話をして
時間を過ごした。
なんせ時間だけはたっぷりあった時代だった。
2階の階段に一番近い席にルオーの「泣く男」の絵は掛けてあった。
正式なタイトルは知らない。
私たちは仲間うちでは「泣く男の絵」と呼んでいた。
そのころ一番仲の良かった友達は必ず2階のルオーの席に座りたがった。
その席があくまで何時間でも気長に待った。
煙草とコーヒーの香り、メロウに流れるクラッシック、短編小説のように他愛ない恋愛の数々、そういうものの入り混じった空気。
みゅーずは数年前に閉店し、中華料理のお店になった。
一番仲のよかった彼からは今でも年に1回ニューイヤーメールが来る。
寒い夜に四条通を曲がるとき、ふっと、みゅーずがそのままあそこにあるような気がする。
京都の西にある大学に在学していた私たちは
授業をさぼってよく名曲をききにみゅーずに来た。
コーヒー1杯で何時間でもたあいない話をして
時間を過ごした。
なんせ時間だけはたっぷりあった時代だった。
2階の階段に一番近い席にルオーの「泣く男」の絵は掛けてあった。
正式なタイトルは知らない。
私たちは仲間うちでは「泣く男の絵」と呼んでいた。
そのころ一番仲の良かった友達は必ず2階のルオーの席に座りたがった。
その席があくまで何時間でも気長に待った。
煙草とコーヒーの香り、メロウに流れるクラッシック、短編小説のように他愛ない恋愛の数々、そういうものの入り混じった空気。
みゅーずは数年前に閉店し、中華料理のお店になった。
一番仲のよかった彼からは今でも年に1回ニューイヤーメールが来る。
寒い夜に四条通を曲がるとき、ふっと、みゅーずがそのままあそこにあるような気がする。