去年からね


たくさんの人に言われるよ。


____ワンちゃんどうしたんですか?


死んじゃったんですよ。去年。


____いい子でしたよね。さみしいです。


ありがとうございます。お世話になりました。


ぺこりと頭を下げる。


でも、わたし


その人たちが、どこの誰だかわからない。




むかし、散歩の途中



おー!お前、散歩かぁ!


と、配達途中の郵便屋さんが


君に話しかけてきた。



えっと。連れていたわたしには、


挨拶ないんだけど?


別にいいんだけどね。


もちろん、わたしは


その郵便屋さんと、話したこともない。




わたしたち、家族がいない間


長い長い時間、うちを守ってくれて


ありがとう。


おつかれさまでした。





でも、わたしたちしか知らない


君は、わたしたちに


決してお腹をみせたり、


さわらせようとはしなかったこと。



なんで普通に甘えてくれないんだろう。


最初から


ずっと感じていたこと


あんなに懐いてくれるのに


なんでだろう。って



お別れが近くなって


やっとさわらせてくれた君。


違うんだよね。


もう、抗う力さえなかったのかも。




そして、やっと気がつきました。




君は


ずっと、ずっと


生まれてから、わたしたちと出会うまで


甘えることなく


甘やかされることもなく


安らげる場所にいなかったんでしょう?


甘えることを知らないまま


大きくなって


優しくおなかを撫でられる


安らぎや幸せを知らなかったんだよね。



それも、あなたの個性だと


知っていたから


無理じいだけはしたくなかった。



たけど、


やっぱり。教えてあげたかったよ。



心をゆるすことの安らぎと



手の温もりを。


もっと君に。