タロットに出会うより少しまえ、小学6年生の終わり近くのころです。
ある夜、ものすごく鮮明な夢を見ました。そして、それは「正夢」でした。
そのとき私は、私立の中学を受験しようとしていたのです。
(もちろん、親の希望というか、まだ「親の言いなり」な年頃でしたが……)
自分と同じクラスには、「受験組」の子たちが何人かいました。
そのなかで、志望校に受かったのは二人なのですが、
なんと、その合格者二人が誰かを暗示する不思議な夢を私は見たのです。
※ここからは私が見た夢のお話です※
夢のなかで私は、受験組のみんなと電車に揺られていました。
ごっとん、ごっとん――かなりスローペースで走る電車。
なぜか扉がついていません。
乗っているのは私を含めて6人の少年少女。
ひとりずつ、ドアの近くに立っていたり、座席に座っていたり。
それぞれ、ぼんやり考えごとをしているみたいで、誰ひとりしゃべっていない静かな車両でした。
と、そこで、ひとりの少年が突然、空きっぱなしのドアから、いきなり自分でポンっと地面に飛び降りました。
クラスで一番、成績がよかった男子です。
そんなにスピードが出ている電車ではないとはいえ、
走っている車内から飛び降りるなんて!
しかも夜なので、地面がどこにあるかもよく見えません。
夢のなかで私は驚き、動揺しています。
すると、他の子のうちの一人が「おーい、〇〇くん! 今いくぞー」と言いながら、エイっと電車を飛び降ります。
その後ろから、またひとり、もうひとりと続きましたが、
目の前に立っているAくんだけは微動だにしません。
なぜか彼は、目の前で起きている事件を無視しています。
それを不思議に思いつつ、私はみんなに続き、電車から降りることにしました。。
そのとき、車内を振り返ると、さっきのA君、そして、もうひとり、B子さんの姿が見えました。
どうやら、この二人だけは電車を降りる気がないみたい……。
なぜだろう……。
とにかく私は、こわごわながらも地面に飛び降りて、みんなのあとを走って追いかけます。
全員がそろい、最初に飛び降りた少年の無事を確かめ、「よかった、よかった!」と言っていたら、だんだん夜が白んできて……。
遠ざかった電車とは反対方向から、大きな太陽が上がってきました。
……と、ここで目が覚めて、
「ああ、なんだか随分と鮮明でハッキリしている夢だったな……」と私は思ったのでした。
その数週後。
……ある事実に気づいて、私は心底ビックリしました。
志望校をそれぞれ受験した夢のなかの6人の同級生たち。
そのなかで合格したのは、なんとAくん、Bさんの二人だけ。
あの夢のなかで、同級生を振り返りもせず、電車に乗り続けていた二人です。
私も含めて、残り4人は志望校に不合格。
公立の中学に進むことになりました。
でも、私は落ち込みませんでした。
なぜかといえば、私が見た予知夢の最後、太陽が昇り、周囲が光に包まれていった様子がとても印象的だったからです。
大丈夫。
私も含め、試験に落ちたみんなも、きっと人生の先は明るい。。
――そんなことを子供心に思い、気持ちを切り替え、中学が入りました。
そして、出会ったのが……前回お話した「タロット使いの少女」だったわけです。
※前回のお話のリンクはこちらです
もし、私立中学に合格していたら、
今の私につながる「タロットの出会い」はなかったわけで……。
もちろん、私立に進んでいれば、また違った素敵な人生になったのかもしれません。
でも、あの不思議な夢は私を救ってくれました。
「合格だけが幸せじゃないさ」というメッセージも与えてくれたし、
それに、
このような「予知夢を見る」を体験していたことで、
タロットと出会ったときにも、
「これを使って未来を当てられる」という「魔訶可思議さ」を、なんの抵抗もなく受け入れられたように思うのです。。
人生には、理解をまったく超える不思議なことがあるものですね。。
……続く。