5年近くまえでしょうか。
近所に小さな本屋ができました。
そのころ、自宅から徒歩でいける書店が次々つぶれていて、
本を読んでいないと落ち着かない性分の私は、いつでも気軽に行ける本屋の誕生を心から嬉しく思ったのです。
オープンの日、さっそく店内へ。
でも、思ったより規模の小さいお店です。
ベストセラーやマンガ、雑誌に占めるスペースがほとんど。専門書はほんの少しだけ。
「これ、読みたい!」と思うものがみつらず……。
小説は滅多に読まないし、
それでも、何か読みたいし。。。
ということで、5列ばかり並んだ文庫本コーナーに向かい、作家名の「あ行」から目を走らせてみることに。
あ、い、う……と来たところで、
パッと目に留まったのは植村直己さんの名前でした。
ずっとずっと幼いころ、
植村さんが遭難されたニュースを見た記憶が、ふっと蘇ってきたのですが、
彼が登山家、冒険家だったこと以外、何も知らない無知な私。
けれども、そのとき、昔この目で見たニュース映像を突然、鮮明に思い出したのです。
ウエムラナオミ?
男の人なのに、ナオミ?
なんで?
この人の女の人なの?
笑ってしまうけれど、ニュースを見たとき、幼い私の頭に生まれたのは、こんな疑問と混乱でした。
今思えば、なんでもかんでも「なぜ? どうして?」と知りたがる年頃でした。
とはいえ、こんなこと、すっかり忘れていたはずなのに……。
うん、読んでみるか。
雪に覆われた山の頂で、日の丸片手に、カメラを見ている植村さんの写真が表紙になっている本を手に取ります。
そのまま、つかつかレジに向かいました。
山に興味があるわけでも、
この偉大な冒険家を尊敬していたわけでもないし、
彼がどこで何をしたのかも知らないままに。。
失礼ながら、私にとっては「近所に本屋ができた記念」でしかなかった一冊の本です。
……まさか、この「気まぐれな選択」が、のちにオーロラ・タロットの着想を生むことになるとは……その日の私には、知る由もないことだったのでした。。
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新装版 青春を山に賭けて (文春文庫)
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さて、オーロラ・タロットのカードが販売されて、約1年。
これからしばらく、このデッキを作った経緯を書いていこうかと思っています。
このお話の続きは、またそのうちに……。