病室にいくといるはずの弟がいない。
婆ちゃんは起きていて、なんだか気分が良さそうだ。
家族待機所の扉を開けると、毛布にくるまってる弟がいた。
「おい、婆ちゃん起きてて、気分良さそうだぞ!」
「あ、ああ…」
久しぶりの帰省の謙介を連れて竹田観光をする。
一度竹田に戻り、昨日僕が走ったコースをゆっくりと周る。
昨日ほど天気は良くないというか、すこし小雨が舞いだすが、それでも岡城はいい景色だ。
家に戻ると、夕飯の用意がされていて、宴会の始まり。
年を越すちょっと前からみんなで鐘を突きに出掛けた。
叔父さん二人はすっかり出来上がってる。
「おい、ようすけ!ここの正月はいいだろ?
え?こういう田舎の正月もいいだろ?」
「いやぁ、いいすねぇ!雰囲気がいいすねぇー」
鐘をつく頃に新年を迎えた。
暖冬の新年。
そんなに寒くないが、やっぱり冬の夜空は星が眩しい。
「あけましておめでとうございまーす!!」
みんな鐘を突き終えると、
「よし!もう2軒寺を周るぞ!」
めんどくせーなあーと思いながらも、
「行きましょうー!!」
と歩を進めると叔父が階段を踏み外して転ぶ。
初転びである。
ったく呑みすぎなのだ。
「叔父さん大丈夫すかぁ?」
「おい、ようすけ!いい雰囲気だろぉ?
こういうところの正月もいいだろぉ?」
「いいっすねぇ~」
2軒目の寺に行く途中でこのやりとり5回。
2軒目の寺から3軒目の寺に行く途中でまた5回。
「おっ?だろぉ?
そうなんだよ。いいもんなんだよ…」
逆に僕から言ってみるとこのやりとりは終了した。
いや、でもほんとにいいもんなのだ。
ライトがないと歩けないほど暗い道。
いや、ライトがなければないで月明かりで歩く道。
通り過ぎる人に
「おめでとー!」
と言う正月。
だよなぁ…
いいもんだよなぁ…
酔った叔父の横顔をチラッと見てみると、満面の笑みがあったんだ。
自慢の街なのだ。













