天皇陛下80歳…「先の戦争」最も印象に

 天皇陛下は23日、80歳(傘寿(さんじゅ))を迎えられた。

 これに先立ち、皇居・宮殿で記者会見し、80年を振り返り最も印象に残っていることとして「先の戦争」を挙げられた。天皇という立場について「孤独とも思えるもの」と自ら明かしつつ、「結婚により、皇后が寄り添ってくれたことに安らぎを覚え、これまで天皇の役割を果たそうと努力できたことを幸せだったと思っています」と述べられた。

 陛下は、即位10年の記者会見で、「私は戦争のない時を知らないで育ちました」と話されている。3歳だった1937年7月に盧溝橋事件が起き、終戦は11歳の時だった。

 今回の会見で陛下は、昭和戦争で310万人の日本人が犠牲になったことに改めて触れ、「夢を持って生きていた多くの人々が若くして命を失ったことを思うと本当に痛ましい限りです」と述べられた。戦後、平和と民主主義を守るべき大切なものとして憲法を作り、荒廃した国土の復興に尽くした人々に「深い感謝の気持ち」を示された。

 陛下は皇后さまと、沖縄や硫黄島、米サイパンなどへ慰霊の旅を続け、被災地にも多く訪問されている。会見では、「大きな災害にも人と人との絆を大切にし、冷静に事に対処する人々が育っていることを本当に心強く思っています」と話された。

 これからの人生についてとの質問に対し、「すでに80年の人生を歩み、やや戸惑っています」と話した上で「年齢による制約を受け入れつつ、できる限り役割を果たしていきたいと思っています」と述べられた。

 宮内庁は、陛下の80年の歩みを振り返るDVDを、初公開映像も盛り込んで製作。23日から「政府インターネットテレビ」で公開するほか、DVDは販売もされる。

 ◆傘寿=「傘」の略字が「八十」と読めることから、80歳のことを指す。77歳の「喜寿」や88歳の「米寿」などと並んで、長寿の節目の年としてお祝いが行われることが多い。

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(2013年12月23日05時09分 読売新聞)


会見でのお一つお一つの深いお言葉が心にしみました。