俺だけレベルアップな件がLINEマンガでも読めるようになった。ポイントプレゼントキャンペーンに乗っかって、XのLINE公式アカウントをフォローしたりしている。


だからというわけではないけれど、このところ頭の中で捏ね回している言葉を書き留めておく。


全て私の主観であることを、最初に断っておく。


「俺レベのどこが好きなのか」

絵。ビジュアル。


「なんで二次創作に手を出したのか」

絵のクセを取り込みたかった。

あと白川さんがかわいい。


「俺レベの話の面白さって何だと思う」

本日の主題。長文失礼。


つらつら考えるに、俺レベの面白さは主人公の人物造形に集約されるのではないか。


水篠旬は二重ダンジョンで深刻なアイデンティティクライシスを抱えることになる。死んだはずが生きていて、失った体も戻っていたら、普通混乱する。


幸い彼はハングリーでタフだった。「生き延びた」ことが一番大事。とりあえず生きていれば儲けもんだ、と動き出す。


また地頭が良く、長期的課題と短期的課題を別建てで対処できる人間だった。つまり、目の前の生存およびレベルアップのために、アイデンティティクライシスは棚上げした。


棚上げしたクライシスは、本編ほぼ全編にわたり、うっすらと吊り橋効果をかけることになる。これが面白さのキモだと思う。


もちろん、生きているだけで儲けもんなのである。自分は何者なのか、とモンスターに問う姿を再三見せるが、とりあえず、という体だ。


このクライシスが剥き出しになる時が2回ある。母親を目覚めさせた時と、エピローグだ。


1回目は、架南島で必要とされ、社会的地位を得たことで、少し回復する。


2回目は深刻だ。回復手段として雫との絆を出してきたけど、それまでの積み重ねの描写がないので、説得力に欠け、安易な印象が拭えない。家族や諸菱くんもいるし、話としては取り繕ってあるので、あとは読者が補うしかない。


この点で、外伝の補完は嬉しかった。犬飼さんありがとう。


閑話休題。


吊り橋効果がキモだと前述したけれど、これを最後まで引っ張らなかったのは不思議だ。


日本の漫画のセオリーだったら間違いなく、最終決戦まで引っ張るだろう。もしかしたら最終決戦も旬は未完成なままで乗り切り(他力を頼むという筋立て的に不可能ではない)、異界での長い彷徨の間に完成して戻ってきたことにしても良い。とにかく旬が完成してしまった時点で、このお話は緊張を失う。その後のエピソードに蛇足感があるのはこのためではないか(念のため繰り返すと、あくまで私の主観だ)。なんとも惜しい。


これは自分が日本人だからなのかなあ。未完成なものを美とする日本人的な感性なのだろうか。

これも棚上げしておく疑問にしよう。


そんなことをつらつら考えている。