長編作家の小野さんのショートショートと呼んでいいかな、と思います♪

99話の怪談集。


鬼談百景 (幽BOOKS)/メディアファクトリー

¥1,680
Amazon.co.jp


おそらく『新耳袋』を多少意識していると思われますが、私は『てのひら怪談』に近い雰囲気だなあと思いました。

他の方の感想でオチの無い話が多いとか、実話怪談系って言われてますが(このへんは「幽」を読んでないのでわかりません)、結構綺麗にオチてると思うんですよね~。



先日紹介した『残穢』とリンクしている話がチラホラあり、それが怖さを倍増させていると思います。。

正直文庫になってから買っても良かったかな、と思ったけど、やっぱり『残穢』と一緒に読むのが面白いと思います。



学校の話が多いのは、『悪霊シリーズ』(旧ゴーストハント)の後書きで読者に募った怪談話が元になっているから…とかでしょうか??







私は「怪談」や「妖怪」、「都市伝説」の類いが大好きなのですが、かといってホラーが好きかというと違うのです。

詭弁でしょうか?(笑)


でも創作ホラーで読んだことあるのは主上以外だと、恩田陸さんと宮部みゆきさんくらい(香月日輪さんのジャンルは児童文学だと思います笑)とホラー関係なしに好きな作家さんのみなので…

たぶん人から人へと語られる「不思議」というものに興味があるんだと思います。



根本には小さい頃、親や先生、友だちから「怖い話」を聞いた時のドキドキ感があるのでしょうね~。


今となってはあまり覚えていないけど、父親がよく寝る前にお話(読み聞かせじゃなくてその場の即興の話)をしてくれて、そのうちのいくつかが怖い話だったと思います。

寝る前に怖い話って…!(笑)


と今なら思うんですけど、その当時はワクワクしながら聞いてましたねw


だから読むのも、語るような怖い話が好きなんだと思います。

たぶん(笑)









小野不由美さん9年振りの書き下ろし(^o^)/

キャッチコピーは

“この怪異、伝染ります”


えっと…小野さんファンで絶対読むともう決めてる方は、先入観無しで読んでいただきたいので回れ右です(笑)



残穢/新潮社

¥1,680
Amazon.co.jp



物語の語り手は小野さん自身と思われる作家で、

『悪霊シリーズ』(旧ゴーストハントシリーズ)の後書きで読者から怪奇話を募ったところ、ある読者の方から一通の手紙が来たことがことの発端という。


これだけでもう冒頭から引き付けられちゃいました。


正直怪異の1つ1つはゴーストハントのほうが怖いと思うんですけど…


ドキュメンタリーの手法が取られているので


読んだ後に

もしや自分の身にも何か起こるのでは…?

という不安を煽られてめちゃめちゃ怖かったです(;_;)


実話怪談系が好きなので、かなりツボにハマりましたが、気にしいの人は読まないほうが良いかも…。


読んだ直後、部屋に一人でいることが意味もなく怖かったです。



私は事実を少し混ぜたフィクションだと思っているのですが、読んだ方の中には「これは小野さんの実体験なのでは?」という声もあって…

たくさんの方の意見を聞いてみたいところでもあります。



しかし…実話系で一番怖いと思っている『東京伝説』シリーズの作者、平山夢明さんが本書ではキーマンの一人になっていて、『新耳袋』の話が出てるあたりで平山さんのことを思い出しながら読んでいたのでめっちゃびっくりしました…!

関係ないですが、『東京伝説』マジで怖いです(笑)

実家に置いてあったのを勝手に読んだパパンに「なにこの怖い本!こんなの読んじゃいけません…!怖いから捨てるね←オイ」って言われたくらい(笑)







『くらのかみ』からゴーストハントのリライトの間、目立った作家活動が無かったと思っていたら、体調を崩されていたのですね…。

今は良くなっているらしいですが、いつまでもお元気でいてほしいです(>_<)








『残穢』の発売に合わせて読みました。

全5巻…。

これまで読んだ中で一番長い小説だったかも(笑)

だから感想もいつもより長いけど、許してね☆←


屍鬼〈1〉 (新潮文庫)/新潮社

¥788
Amazon.co.jp



「村は死によって包囲されている」


山に囲まれた小さな村である外場では、猛暑の夏に三体の腐乱死体が発見されて以来、謎の病死が続いていた。

村人たちを襲うのは新種の疫病かあるいは…医者と僧侶が真相を突き止めるべく立ち上がる…

という話、かな。


フジリューがコミック化していたから、そちらで読まれた方もいらっしゃるかもしれませんね☆

『ゴーストハント』、『十二国記』と合わせて小野不由美さんの代表作といわれているので、今さら私があらすじを説明するまでもなかったかな…ガーン







私はまあまあ面白かったと思うのですが、

4巻の途中まで、登場人物たちの間で情報が共有されず同じ話を違う人物の視点から繰り返していることが多かったので、そういった意味ではここまでが序盤になるんじゃないかな…と思います。

つまりこの長さに耐えられるかどうかが、この作品を楽しめるかどうかのポイントかとw




ぶっちゃけタイトル通り、村に蔓延する死の原因は病気なんかじゃなく“屍鬼”(吸血鬼)なんですけども←

その結論に至るまでの論理的(科学的?医学的?)プロセスがまどろっこしいっちゃまどろっこしいのですが、小野さんっぽいと思いました。


1、2、3巻には真相をわかりかけているのに止まらない死の連鎖に歯がゆい思いをし、4巻では人間の愚かさをこれでもかというように何度も鼻先に押し付けられているような気分になって、読んでいて非常に苛々しました。


そして他の方の感想にもありましたが、まさに最終巻のための4冊だったかと。(単行本では上下巻ですが)



敏夫(医者)、静信(僧侶)、沙子(謎の少女)や彼らに扇動される大衆としての村人や屍鬼に、象徴的というか暗喩的というか…この村の人たちって田舎や都会を関係なく現代人(日本人)を表現しているんじゃないかと思いました。

「自分だけは大丈夫」という無関心と鈍感さ、声の大きい者に先導され自分の頭で考えることを放棄する愚かさ、正義のためには外道な振る舞いも許されると思う傲慢さ、他人を犠牲にすることを善しとしない誇り高い者が真っ先に倒れていく不条理さ…


あと最初に真実に気がつくのに問題を解決する力がなくて、それゆえに不幸に見舞われてしまった子どもたちにも、暗示的なものを感じました。


原発、放射能、生活保護、領土問題、いじめ…読んでいてちらちらとそんなワードが頭を過りました。


十数年前の話なので、もちろん今の問題とは関係ないのですが、人間が抱えている普遍的な「負」の部分を描いているなあ…と。

深読みしすぎかなあ…ガーン


でもそう考えるとちょっと怖くなりました。

話も屍鬼も哀しいものなんですけどね。。


最後らへんで、好きだった女性キャラクターが屍鬼になっちゃうんですけど…その人の態度が救いであり、でもその人がこの物語で一番救われてないように思われて悲しかったです…。


スティーヴン・キングに影響されているらしいんだけど、そっちもこんなに重たい話なのかなあ。


結局一番幸せなのは屍鬼に襲われても「起き上がり」をしなかった死者たちかも…。皮肉だ。



敏夫は傲慢で短慮なとこもあるけど、たぶんそばにいたらこの人のことを信じると思う。

だからかなあ…その後の彼に何か希望になることがあれば良いなあと願わずにいられないのです。


理想主義の象徴の存在で終わるのかと思った静信は、最後に確かに彼がこの物語の主人公だったのだな、という変化を見せたので、好きではないけど「おぉ…」と思いました。



ジットリとした湿度の高い空気を味わえて、今の季節にはちょうど良い作品だと思います。