ボクは虐待を受けた記憶も激しい苦痛に晒された記憶もない。

 

でも気づくと心を失い

人の形をした人形になっていた。

 

なぜだろう・・・。

 

その問いの答えを見つけ、人としての心を取り戻した経験を

ここに書いていこうと思う。

 

いつかボクの体験が誰かの役に立ち

いつか誰かの心を取り戻すキッカケになれば嬉しい。

 

大学受験が終わり、いよいよ合格発表の日を迎えた。

 

父の希望は薬学部。

本当は医学部に行って欲しかったそうだが

いくら父の希望通りにしようと決めていたとはいえ

そこまで学力がなかった。

ボクなりに必死で勉強したけれど、やり方が悪かったのか、ボクの頭が悪かったのか、届かなかった。

 

ボクは薬学部に行きたいわけではなかった。

だからと言って、すでに人形となってから6年。

ボクにも本当の気持ちはわからなかった。

もしかしたら薬学部に行きたいと願っていたのかもしれないし・・・それは今でもわからない。

 

だが、なんとここに来て、父の意向に全く沿うことができず、全ての薬学部に落ちてしまったのだ。

 

そして、完全な滑り止めで受験した理工学部に合格した。

 

ボクはここでもう終わりにしたかった。

4歳からスタートした塾通いをもう辞めたかったのだ。

 

さすがに心を失っていたボクでもその感情はあった。

「もう何があっても終わりにしたい・・・」

その気持ちだけを支えに、父に初めて反抗した。

 

父は当然、浪人するものだと思い込んでいた。

そんなところにボクが滑り止めの大学に行かせて欲しいと頼んだ。

 

もちろんだが特大の怒りをくらった。

 

マンガのような往復ビンタをされ

ボクは数ヶ月音のない、耳鳴りだけの日々を過ごした。

 

そう、鼓膜が破れてしまうくらいビンタされたのだ。

 

でも数ヶ月間の聴力と引き換えに

ボクは4年間の大学生活を手に入れたのだ。