第3話 小説『私は私~I can be me.~』 | jun2980さんのブログ

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 第3話


どうやって、2階まで上り、自分の部屋までたどり着いたのか、分からない。

とにかく、ベッドの上に身を投げ出していた。

腰が抜けるって、こういうことなのかな。

杏に返信メールをタップすることも出来ない。

頭の中が真っ白で何て杏に言えばいいのかも分からない。  

ベッドの向こう側にある机の上の置き時計を見た。

もうすぐ5時だ。

夏至が過ぎたばかりだから、5時でも、昼間のように明るい。

西側の部屋はこんな時は辛いと、思った。

太陽の光が容赦ないのだ。

それに、母も帰って来る。

毎日の恒例である母の叱責に、今日は黙っていられるだろうか。

カバンは投げっぱなし、制服も着たままだ。

今日だけは何も言わずにそっとしておいてほしい。

でも、その願いは叶えてもらえないだろう。

まもなくすると、玄関の戸の鍵を掛ける音がした。

母、本人にしてみれば、鍵を開けているつもりだ。

私が鍵を内側から掛けていなかったからだ。

母が戸を開けようとして、開かないから、また、鍵をガチャガチャと開けて家の中に入って来た。

リビングに入る前の階段に繋がっている私の部屋に向かって、声を上げてくる。

「美波、帰っているの?」

「うん」

「どうして、鍵を掛けていないの」

「忘れた」

「何をやっているの」

ああ、階段を上ってくる母の足音がが聞こえる。

嫌だなあ。

いつものことだけど、ドアをノックもしないで、バンと開けて母は入って来た。

「どうしたの?熱でもあるの?」

普通に話しているらしいが、なぜか責めているように聞こえてくる。

「いいや」

「早く、ちゃんとしなさい」

「うるさいなあ。好きにさせてよ」

母の顔を見ないで言った。

母の気色ばった顔は見たくない。

「何なのその言い方は」

後はお決まりのコースに言い合いが発展していく。

怒るだけ怒ると、母は出て行った。

「ご飯、作ってあげないから」

いつものこの捨て台詞は今日はありがたかった。

ご飯など、食べたくもない。

でも、母はご飯が出来たと、知らせてくる。

断ると、せっかく作ったのに、我がままを言って、と、責めてくるだろう。

憂うつだった。

松村…

そこに、また、メール受信のバイブ音が鳴った。

杏からだ。

『松村君、警察で留置されている
みたいよ。美波、大丈夫?』

もちろん、受け止められるわけがない。

私は居てもたってもいられない気持ちになった。

階下から、突然、家の電話の呼び出し音が聞こえた。                        その音に私は飛び上がった。

ドアをそっと開けて、階段を中段まで静かに下りていった。

母の電話の話し声に耳を大きくして傾けた。

「えーっ!松村さんが!?階段から落ちたの!?まさか!?あの賢介君が!?」

松村の名前が出た瞬間に私は頭を抱え込んだ。
          
          つづく

最後まで、読んでいただき、感謝いたします。

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