イチはシャワーを浴びていた…
先ほどまで鳴り響いていたギターの音色のかわりに
今はシャワーの流れる音が部屋中に鳴り響いている…
こだわりのヘアスタイルであるツイストパーマを丁寧に洗いながら
イチは思い返していた
今も充分青臭いながらも、
なおのこと青臭かったあの頃のことを…
別に勉強をしたかったワケでもなく
何かを目指すためでもなく
だだ当たり前のことのように高校に進学することを決め
どことなく…
ただ単純に…巷では人気のある茶色いブレザーにベージュのチェックパンツが売りである高校に入学してたこと…
「ど根性」と言う言葉から程遠い性格ではあるが
其れなりに何でもソツなくこなせる器用さを武器に
バスケットボール部に入部したこと。
中学校のツレを便りにできた仲間たちとノリでバンドを始めたこと…
何でも器用にこなせる為、
何でもすぐに飽きがきたが…
まさか自分がここまでギターに…
音楽にのめり込むとは思いもしなかった…
ノリで始めたギター…
バンドの中では、
ボーカルの次に目立ちそうだったから…
「何でも目立つことが好き!」
人前で歌うのはあまり好きではなかったから、
その次に目立ちそうなギター!
そんな単純な理由…
でも、いざやり始めてみると…
全く指が動かない…
何でもソツなくこなせる器用さと言うプライドが始めて傷ついた…
生まれて始めて「意地」と言うモノで物事を続けることになる。
これが功を奏して「今」のイチがいる。
中学までは寝る時間だった「音楽」の授業も高校からは、
一番熱心に取り組む授業となり、
東京にある音大に進学しようと決心するには
そう時間はかからなかった…
音大に進学する為には、
それなりに費用も必要だったし、
何かと付き合いも生じ始める高校生活…
バイトしようと決心し、
生まれて始めて手にした求人雑誌…
パラパラとめくる中
ピピっときたアルバイト…
別に家から近いワケでもなく…
学校からも決して近くもない…
はては…時給もそれほどいいわけではないが…
気がつけば電話をしていた
誰もが知っている
あの全国チェーンのたこ焼き屋に。

