今年も手話勉強会の仲間たちと、タチヒビーチでBBQをやる計画をしています。
去年の秋にやったらとても楽しかったので、今年も同様にやろうということになったのでした。
「ゲームは何をやるの?」
「手話歌もやろうね!」
私たちはいつも、ただ飲んで食べるだけではなく、ゲーム(余興)もやります。
むしろ、ゲームの方がメインだとも言える。
私たち中途失聴・難聴者のグループは、手話を使って交流することが一番の目的だから。
それにはタチヒビーチは格好の場所。ここなら思いっきり大きな声で喋ったり歌ったりしても大丈夫でしょう。
手話歌の案が出たので、私は「新曲をやりたい!」と提案しました。
「定番の手話歌もいいけど、それだけじゃなくて新曲もやった方が楽しいと思う」
と、私は主張したのです。
いつもやってる定番の手話歌と言えば、「小さな世界」「四季の歌」「幸せなら手をたたこう」とか。
特に「四季の歌」には、入門クラスで習う手話単語がたくさん入っているので、手話を習いたての人には格好の手話歌になるんだそうだ。
しかし、飽きたのよ~。簡単過ぎて、私には物足らないのよ~。
なにしろ私は手話ダンス歴7年なもので(自負!)
皆だって、もう殆どの人が実践レベルなんだから、この機会にもっと手応えのある歌を覚えてみようよ!
じゃあ、何の歌にする?
皆に意見を出して貰いました。
「365日の紙ひこうきが良い、朝ドラの主題歌だったやつ。歌詞が前向きで好きなの」
「その歌、知らない~」
「最近の歌はダメだよ、もっと昔の歌じゃないと」
「難聴になってから初めて聴く歌は、メロディが良くわからない」
「そうそう、音痴に聴こえる」
「皆が知っていて、皆が歌える歌が良い。子どもの頃に流行った歌で、何かない?」
大人になってから難聴になった人は、子どもの頃に聴いたことのある歌なら、記憶があるのでわかります。
ちゃんと聴こえなくても、脳が正しい音に補完してくれるから。
ただ、一概に子どもの頃って言っても、世代が違う。
「山本リンダの、ウララ~ウララ~♪はどう?」
「何それ、知らない~、まだ生まれてなかったかも?」
「世界に一つだけの花は?」
「もう失聴してたから、聴いたことない」
「私はピンクレディーの世代よ。あと、たのきんトリオとか」
「郷ひろみなら知ってるけど」
「瀬戸の花嫁は?」
「それ、いいわね、皆も知ってるんじゃない?」
「私は木綿のハンカチーフが好きでした」
「キャンディーズの、年下の男の子」
「私の彼は左きき」
「アグネスチャンの、草原の輝きがいいなあ~」
「ヤダ! そんなかわいらしいの、恥ずかしくて歌えないわよ!」
…と、こんな風に意見を出し合いましたが、その時は決まらないまま終わって、後から私はひらめきました。
そうだ、「青い山脈」か「学生時代」が良いのでは?
この歌なら、高齢の皆は良く知っているんじゃないか?
私は介護施設に勤めていた時に、たくさん歌詞カードを作って、ピアノ伴奏でお年寄りたちに歌って貰っていました。その中にこの2曲もあって、皆が好きな歌だったことを思い出したのです。
(特に「青い山脈」は、お誕生会の余興でコスプレして踊ったという、懐かしい思い出もある…)
それで先生に提案してみたところ、先生もこの歌が良いと思っていたと言い、皆も賛成してくれて、この2曲をやることに決まりました。
手話の振り付けは先生が考えて、皆に指導してくれます。
手話歌とは、歌詞に手話単語をそのまま当てはめていけば良いってものじゃない。
歌詞の意味を考えて、なおかつ音に合う表現を選ぶ必要があります。
でも「青い山脈」は、割とそのまま当てはめられる歌詞だったので、簡単にできます。
一方「学生時代」の方は、ちょっと難しくて、やり応えがありました。
「学生時代」は、過ぎ去った過去を懐かしく振り返る歌なので、「夢」「思い出をたどれば」「懐かしい友」「浮かぶ」「夢みた」「憧れ」「過ぎし日よ」「懐かしい日々」と、似たような言葉が複数出てくる。これらを全部「想像」や「懐かしい」の手話にしてしまうと、重複したり、しつこい感じになってしまうので、他の手話に置き換えたりと工夫が必要になります。
そこをどう表現するかは、振り付ける人のセンスですね。
これとは別に、私は却下された歌「草原の輝き」を、自分で勝手に振り付けてみました。
いつも与えられる歌ばかりやってるので、自分で選んだ好きな歌もやってみたいもの。
1973年のアグネスチャンの歌で、作詞は安井かずみ、作曲は平尾昌晃。
この歌詞の意味を考えながら、手話表現をどうするか考えていったら、考えて考えて、考え過ぎて、わけがわからなくなっちゃったー!
だって、日本語として変なところもあるでしょ?
まず冒頭の「い眠りしたのね いつか」の「いつか」って何? 何月何日の「いつ?」じゃないよね?「いつかそのうち」でもないよね?
まあこれは、「いつのまにか」の省略形だろうから、2番冒頭の「知らずに」と同じで、「気が付かないうちに」と表現したら良いだろう。
2番には「いつのまにか」とあるけど、そっちは「気が付かない」じゃなくて、「気が付いたら」という表現の方が合ってると思う。
「野イチゴ探して ホント」の「ホント」はカタカナになってる。だから「本当」の手話じゃなくて、「ビックリ!」と驚いた表現にしてみる。「ええー? ウソー? ホントにぃ~?」っていう意味。
「私の好きな 草原」の後にキラキラを付け加えたわけは、タイトルに「輝き」が付いているからだよ。その方が見栄えもするでしょ?
…と、こんな風に表現を考えて作ってみたので、せっかくだから、先生や手話仲間たちに見て貰って、変な所を直して貰いました。
そうして一応完成した手話歌が、これです↓
「イチゴをポケットに入れたら、潰れちゃうんじゃないの?」
いや大丈夫よ、きっとメイドさんみたいなフリフリのエプロンを着けていて、大きなポケットがあるのよ、そんなイメージ。
「あなたの好きな、草原の名前を呼んでるのか? 霧ヶ峰~とか?」
いや違うよ、草原であの人の名前を呼んだのよ、そしたらこだまであの人の名前が聞こえて来たっていう意味だよ、きっと。
この歌が流行ってた頃は、歌詞の意味をここまで考えたことはなかった。
何も考えずに歌ってたよね?
それが何十年も経った今になって、こんなに深読みすることになるとは。
でも大好きだった歌なので、これを手話で歌うと気持ちがノリノリで、楽しいよ~。
こうなったら、BBQの時にも歌って見せたくなってきた。
フラダンス用のウイッグでロングヘア―にして、ミニのキュロットスカートに白いハイソックス履いて、
「ハ~イ、私は香港から来た妖精アグネスよ~」
と登場したらウケるかも? などと、妄想しています。(たぶんやらないけど)





