この前、地域の手話勉強会の仲間たちと、アクアパーク品川へ遊びに行って来ました。

 参加者は10名で、全員中途失聴・難聴者。障害者手帳6級~2級で、補聴器や人工内耳をしています。

 そこで、難聴者の視点からブログを書いてみようと思います。

 

 まず、行きの電車から。

 10時に品川駅集合なので、同じ中央線に6人で乗って向かっていました。通勤ラッシュの時間帯で混んでいて、皆つり革につかまって立っていましたが、混んだ車内で喋ったら周囲に迷惑だし、かといってヒソヒソ声では聞こえない。でも私たちには手話がある。声を出さずに会話ができるし、遠く離れた場所にいる仲間とも通じるので、手話って便利だなあ。

 ところが、電車がなぜか途中で止まってしまいました。いくら待っても動かなくて、15分以上経過しています。なぜ止まってるのか? 全員難聴なので誰もわからない。アナウンスがあったらしいが、人工内耳の人でも全然聞き取れないって言う。

「難聴だとこういう時に困るのよねえ~」と共感し合っていたら、一人がスマホで情報を取得した画面を見せてくれたので、電車が止まっている理由がわかりました。どこかの信号機の故障だったようです。

 それで品川駅には10時には間に合わなかったけれど、10時20分頃に全員集合できました。

 

 

 目的地のアクアパーク品川は、品川駅から徒歩すぐの所にあります。

 私はこの辺りには何度も来たことがあるので、「こっちよ~」と皆を先導して行きます。

 いや、今回私は幹事じゃなかったんだけど、良く知ってる場所だったから勝手に仕切っちゃってたのよ。

 

 

 アクアパークの隣にはライブハウスがあって、健聴の頃に島袋寛子のライブに行ったことが、懐かしく思い出されます。

 島袋寛子、大好きだったんです。SPEEDの頃から好きだったけど、ソロになってからますます好きになって、CD全部持ってるし、ファンクラブに入ってライブのチケット買ってよく行ってたのです。でも、突発性難聴になってから聴けなくなりました。悲しくなるから…。

 それは置いといて、アクアパークの窓口で障害者手帳を提示してチケットを買います。半額になるので一人1250円です。

「このチケットで再入場できるから、みんな失くさないでね」

 アプリじゃなくて紙のチケットで助かりました。最近はなんでもデジタルチケットだものね。私たちは全員高齢者なので、紙の方が安心よ。

 

 

 私は鞄に付けているこの「のびパス」にチケットを入れておきました。これだと鞄の中からゴソゴソ探さなくても直ぐに出せるし、失くす心配もないから便利よ~。

 でもパンフレットは紙じゃなくてデジタルパンフレットだったので、iPhoneで読み取って保存して、グループラインに送信しました。

 

 入ってすぐの所で集合写真を撮ります。

「みんな、魚の手話のポーズをするのよ」

 と私は呼びかけました。イルカ、タコ、イカ、クラゲ、ヒトデ、アイラブユー?

 背景は海のイラストの合成になっていて、とても良い集合写真が撮れました。

 1300円で一枚だけ買うと、私はすぐにiPhoneでQRコードを読み取ってダウンロードして保存して、グループラインに送信します。

 

 

 

 

 

 

 

 ランチは、品川プリンホテルのメインタワー38階にある「味街道五十三次」の席を、幹事が予約してあります。

 ところが、一人が38階のエレベーターには乗れないって言う。気圧の変化でめまいが起こるから無理だって。

「大丈夫よ~、全然揺れないし、あっと言う間に着いちゃうよ」

「そうよ、スカイツリーに比べたら38階なんて大した高さじゃないでしょ?」

 と、皆も口々に言ったけど、頑として「乗らない!」と言い張る。

 仕方がないので、その人には1階のどこかで一人でランチして貰うことに幹事が決めて、エレベーターには9人で乗り込みました。

 

 

 

 

 38階の窓からは、品川駅が見下ろせます。遠くに海も見えるね~。

 

 

「あれ、スカイツリーじゃない?」

「どこどこ?」

「ほら、あそこに頭だけちょっと見えるよ」

 皆は窓の外を眺めてはしゃいでいます。

 食事代はとても高いけれど、この窓の景色も値段のうちだと思います。

 

 

 ズームでスカイツリーを撮ってみました。

 

 

 

 国産豚ひれカツ御膳と、和のデザート3種盛り&お薄セット。税サ込で4181円。

 贅沢しました。

 

 そこでトイレに行ったら、見覚えのある制服姿の人が…? 車椅子のお年寄りのトイレ介助をしている。よく見たらやっぱりそう、私が前に勤めていた有料老人ホームの介護士の制服でした。外出レクでアクアパークやランチに来ているんだね?

 私がその有料老人ホームで働いていた時も、アクアパーク品川へ外出レクがあったことを思い出しました。

 私は二度目の突発性難聴になった時に退職したのですが、もし難聴にならなかったら今頃どうしてただろうね? 今は別の介護施設で難聴でもちゃんと働けているから、選択は正しかったと前向きに考えていますが。

 

 さて、ランチが終わると、1階で待っていた人も一緒にアクアパークに再入場します。

 14時半からのドルフィンパフォーマンスを観るべく、2階のスタジアムへ直行して一番良い席を10人分確保。座って休んでいる方が良いという高齢者4人に荷物番をして貰って、他の若い(?)6人は時間まで魚を自由に見て来ます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドルフィンパフォーマンスが始まると、司会進行の男性のマイクの声がさっぱりわからないのは想定内。これは難聴あるあるで、声は聞こえるけど響いて割れて言葉は聞き取れないのです。

 そこで、隣りの席の人がスマホで音声文字変換を出したので、画面を覗いて見ると、誤変換だらけ! 笑ってしまうほど。

 そこで思った。この誤変換だらけの文章は、難聴者の聞こえ方そのものだとも言えるのではないか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 でもこの後のペンギンのミニパフォーマンスの時は、補聴器で割と良く聞き取れたのです。それと言うのも、マイクで話す若い男性が、マスクをしていなかったからでした。(この前のズーラシアでは、飼育員がマスクしたままマイクで話していたので、声が籠って全く聞き取れなかったんだよね)

 それでもやっぱり音声文字変換を見ると誤変換は時々あって、それが、私が聞き取れない言葉と誤変換した言葉が一致していることに気付いたのです。

 例えば「ジェンツーペンギン」という言葉が何度も出て来たが、一度も正しく変換されなかった。「ゼーツー」だとか、漢字で「全通」などと変換されていて、結局このペンギンの名前は何なのか最後まで分からなかった。(後で調べて正解が分かった)

 つまり、難聴者に聞き取れない言葉は、アプリでも聞き取れないのです。

 何が言いたいのかというと、聞き取れないのは難聴者だけが悪いんじゃないってこと。

 健聴者は、聞き返されて怒る前に、自分の話し方や滑舌が悪いんだということも自覚して欲しいと思います。