(広島県廿日市市にある、世界遺産の厳島神社。平家の氏神だった)
第81代天皇 安徳(あんとく)天皇 在位期間1180年~1185年 なお、「㉚」は「今上天皇の直系のご先祖様で、直系30代遡る」という意味です。
言仁(ときひと)親王。高倉天皇㉚の第1皇子。母は平清盛の娘・得子(建礼門院)。守貞親王(後堀河天皇の父。後高倉院)&後鳥羽天皇㉙の異母兄。
1178年生まれ。1歳と少し(数え3歳)で即位。外戚・清盛の時代だったが、即位直後に源氏が挙兵。清盛は福原への遷都を目指し、まず福原行幸という形をとる。
しかし、富士川の戦い※1で平家軍が源頼朝の軍に敗北すると平家打倒の動きが全国規模で活発になったため、また京都に戻った。
1181年清盛が63歳(数え64歳)で没。
1183年北陸で平家軍は木曽義仲の軍に大敗(倶梨伽羅落[くりからおとし])、義仲軍が迫ったため平家一門とともに京を追われる。このとき三種の神器も持ち出している。
1184年義仲は源頼朝の弟の範頼&義経に攻められ、宇治川の戦い※2で敗北し近江で討死。
同年平家は一ノ谷の戦い※3で範頼&義経に敗北、義経の奇襲攻撃で一門の多くを失う大打撃を受ける。
1185年屋島の戦い※4でも義経の奇襲攻撃により平家は敗北。
同年壇ノ浦の戦い※5で平家は滅び、安徳天皇も入水して6歳(数え8歳)で崩御した。歴代最年少での崩御。
※1 富士川の戦い 「水鳥の羽音に驚く平家」で有名。直接の勝者は甲斐源氏の軍だったという説が有力。
※2 宇治川の戦い 「宇治川の先陣争い」で有名。先陣争いで勝った佐々木高綱(ささきたかつな)は乃木希典(のぎまれすけ)の先祖。
※3 一ノ谷の戦い 「鵯越の逆落し(ひよどりごえのさかおとし)」「熊谷直実(くまがいなおざね)と平敦盛(たいらのあつもり)」で有名。無賃乗車の隠語「薩摩守(さつまのかみ)」のネーミング元となった薩摩守忠度(さつまのかみただのり)こと平忠度(たいらのただのり)もこの戦いで討死している。
※4 屋島の戦い 「扇の的」「弓流し」で有名。
※5 壇ノ浦の戦い 「八艘飛び(はっそうとび)」「宝剣喪失」で有名。生き残って子孫を残した清盛の異母弟・頼盛(よりもり)など例外もあり、平家一門が完全に絶えたわけではない。
「このとき喪失した天叢雲剣(あめのむらくものつるぎorあまのむらくものつるぎ。別名:草薙剣[くさなぎのつるぎ])は崇神天皇の時代に作られた形代(かたしろ。レプリカの一種)であり、オリジナル(スサノオがヤマタノオロチを退治したとき尻尾の中から現れた剣)はアマテラス→ニニギ→伊勢神宮→ヤマトタケルを経て熱田神宮にある。ごく短期間のわずかな例外を除き、現代まで熱田神宮の御神体として祀られている。平家の都落ちで三種の神器が持ち出される1か月前に伊勢神宮から献上された剣があり、1210年順徳天皇が皇位に就くにあたり後鳥羽上皇によって2代目の天叢雲剣の形代とされた」という。
現在の三種の神器の所在場所は以下の通りだが、最も神聖な、いわば究極のタブーとして、オリジナルも形代も厳重に保管されており、歴代天皇を含め、見た者は歴史上ほとんどいない。
1.天叢雲剣(草薙剣):オリジナルは熱田神宮、2代目形代は皇居の吹上御所の「剣璽の間(けんじのま)」。
2.八咫鏡(やたのかがみ):オリジナルは伊勢神宮、形代は皇居の宮中三殿の賢所(かしこどころ)。この形代は度重なる火災のため鏡の原型をとどめておらず、箱の中に灰が残されているだけと言われている。
3.八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま):皇居の吹上御所の「剣璽の間」。
★『平家物語』冒頭
祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれるひとも久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。たけき者も遂にはほろびぬ。ひとへに風の前の塵に同じ。
(口語訳)祇園精舎の鐘の音は、諸行無常の響きがある。沙羅双樹の花の色は、盛んな者も必ず衰えるという道理を示している。おごり高ぶっている人の栄華も長く続くものではなく、まるで覚めやすいと言われている春の夜の夢のようである。勢いが盛んな者も結局は滅亡してしまう、まったく風の前の塵と同じである。
(ナツツバキの花。釈迦が入滅したとき周囲で咲いていたというインド原産の沙羅双樹の花は寒さに弱く日本では育たないため、日本ではナツツバキが代用として植えられ沙羅[シャラ]と呼ばれている。沙羅双樹[さらそうじゅ]と呼んでいる寺院もある。朝咲いて夕方には落ちてしまう一日花であり、『平家物語』の沙羅双樹はナツツバキの方がふさわしい)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
(雑感)
今日のお題は、もちろん、『平家物語』です。
まず、「源平合戦・平家滅亡という大事件を軸にしている」「平清盛、源頼朝、源義経など、歴史的有名人を主要キャラにしている」という点、良いですよね。
やはり、物語、特に長編物語は、大事件や歴史的有名人を軸に展開させると面白い。そういう醍醐味、ありますよね。
シェイクスピア(Shakespeare)はシーザー暗殺など多くの大事件を題材にしてますし、トルストイ(Толстой)の『戦争と平和(Война и мир ヴァイナー・イ・ミール)』はナポレオン(Napoléon)のロシア遠征、ドストエフスキー(Достоевский)の『罪と罰(Преступление и наказание プリェストゥープリェーニエ・イ・ナカザーニエ)』も『カラマーゾフの兄弟(Братья Карамазовы ブラーチヤ・カラマーザヴイ)』も資産家殺人事件を軸に展開してます。
長編なのに大事件がない、しかも歴史的有名人が出ない、ひたすら主人公の日常や心理描写が続く、そういう小説もありますが、軸が無いと読んでいて大変です。私は苦手です。
そして、合戦シーンの描写、素晴らしいですよね。生き生きとしていて、面白く、また味わい深いエピソードが次々に出てきます。
「水鳥の羽音に驚く平家」「倶梨伽羅落」「宇治川の先陣争い」「鵯越の逆落し」「熊谷直実と平敦盛」「扇の的」「弓流し」「八艘飛び」、良いですよね。
ホント、アイデア豊富ですよね。






