渋沢栄一財団機関誌、『青淵』12月号の表紙を担当させて頂きました。
「岩と雪の殿堂、北アルプス剱岳」
剱岳は北アルプスの中でもひときわ峻険な山容を誇り、「岩と雪の殿堂」と称される特別な存在です。標高2,999メートル、その切り立った岩壁や雪渓は古来より登山者の憧れであり畏怖の対象でした。かつては「未踏の山」とされ、明治40年に測量官・柴崎芳太郎らが三角点設置のために挑んだ記録は、日本登山史に大きな足跡を残しています。さらに、剱岳は修験の行場としても知られ、山岳信仰の歴史が色濃く息づいています。
私はまだ剱岳の頂には立っていませんが、その雪に覆われた姿を望むべく唐松岳山頂を目指しました。北アルプスの残雪期は、一歩の判断が命取りとなる厳しい世界。天候を注視しながら、アイゼンとピッケルで確実に足元を確かめ、一歩ずつ進みました。
やがて目前に現れた剱岳にカメラを向けると、それは単なる冬景色ではなく、自然の厳しさと荘厳さを映す存在そのものでした。白銀の稜線は陽光に輝き、刻々と表情を変えては新たな姿を見せます。その瞬間ごとに、剱岳が時代を超えて人々を魅了してきた理由を実感しました。
今回の撮影では、山の静謐さと同時に潜む力強さを記録に残したいと願いました。写真を通して、この山に宿る威厳と歴史の重み、そして人の心を揺さぶる特別な存在感を伝えられればと思います。
https://www.shibusawa.or.jp/outline/seien/921202512.html
















