"自然との対話" | Jun Photo Diary

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写真を媒体に旅、日常での出会いの記録を綴ります。

今から30年程前、"自然との対話"をテーマに撮影を行っていた時期があった。

森の中に発電機と照明設備を持ち込み、闇に浮かび上がった樹々と対話することを試みた・・・

当時はまだフィルム時代でしたので。4×5インチのフィルムを用いた大型カメラで撮影し大型パネル展示していた。

この一連の作品は、神奈川県美術展での大賞を始め数々の公募展で入賞はしていたもののある時期に行き詰まりこのシリーズを封印し、他のテーマへと移行していった・・・・

あれから30年の月日が経ち、多くの自然との関わり、機材の変化により再び昨年あたりから自然との対話シリーズを再開しました。

機材はデジタルへと移行し高感度に有利となり、照明設備もLEDランプのおかげで40wで昔の300wの明るさを得られ、よりスケールの大きな撮影に臨むことができるようになりました。

撮影した写真は、作品なのでブログ上での公開は控えますが、今回1点だけ松田町寄で撮影した写真を紹介します。寄には、2〜3年程前から頻繁に立ち寄るようになりましたが、凝縮された様な田舎の落ち着いた雰囲気は週末に過ごしたくなるぐらい好きな場所です。特に桜の季節には川沿いに枝垂れ桜が咲き乱れ、吸い込まれるような景色が広がります。丹沢登山の登り口にもなるので、登山をやっている方はご存知かもしれませんが、桜を目的にのんびり過ごすのも良いかと思います。

 

 

             "自然との対話"     神奈川県松田町 寄

 

 

 

 

 

 

 

 

 

"自然との対話" 2024/2展示作品(1.2×8m)

 

 

 

 

 

以前、PARFUMと言う雑誌に掲載された際の批評家"夏木遊"氏のコメントから・・・

 

相沢淳一写真展 自然との対話

 

一見、演出的にも見えるが、しかしそれは、樹が樹となり

世界が世界となるかを示すための光景である。

つまり「存在そのものにおける呼吸」(メロル=ポンティ)があるといえよう。

私は相沢の写真を見て、ポンティがアンドレ・マルシャンの次の一節を引用したのを思い浮かべた。

「森の中で、私が森を見ているのではないと感じた。樹が私を見つめ、

私に語りかけているように感じた日もある・・・。」

 

 

 

 

 

 

 

                              撮影準備

 

この撮影は、下見1時間、照明のセッティング1時間30分、撮影1時間30分、撤収作業1時間と

現場についてから撮影終了まで5時間かかるため意外と体力のいる撮影です。

発電機の代わりに車から電源を取れるようになったので重量は減ったものの

ライトを12灯使用しているので、神経を使う作業には変わりありません。

それでも闇に浮かび上がった自然と対話できることで一気にその疲れも吹き飛びます・・・

3〜4月にかけて、自然が動く姿を計8回撮影、方向性も見えてきたので

しばらくは写真を整理した上で、新たな撮影に臨む予定です。

作品発表には2〜3年後になるかと思いますが、是非見て頂きたい作品です。