渋沢栄一財団機関誌『青淵』3月号の表紙 | Jun Photo Diary

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写真を媒体に旅、日常での出会いの記録を綴ります。

 

この度、渋沢栄一財団機関誌『青淵』3月号の表紙に私の写真がされました。

機会がありましたらご覧ください。

 



                                                                     “アルプスに魅せられて”

私は三十歳を過ぎた頃、初めて北アルプスを訪れました。そこで見た山々は美しく、森林限界を超えた自然は厳しく、私は険しい山々の雄大な姿に立ちすくむばかりでした。
 以来、アルプスで新たな魅力を発見する事が楽しみとなりました。その中でも印象的な出会いは笠ヶ岳岩陵帯の岩肌に付着した鮮やかな色の苔の存在でした。その周辺には様々な苔を見ることができて、まるで自然の中に現れたアートの様でした。その後、アルプスを訪れる度に岩肌に目を凝らしてみていましたが、期待に沿う程の苔に出会いことはなかったのです。二十数年後、笠ヶ岳へ二度目の登頂。北アルプス三大急登の一つが阻む笠ヶ岳は決して楽な道のりではありません。しかし、そこで以前見た美しい苔の世界と再会できた喜びは決して忘れることはできません。
 山には、我々の想像を越えた厳しさの中に美しさが存在し、その魅力に魅了された者を登山へと誘うのです。