a new departure・・・新たなるたびだち 16 | 時をこえて・・《シンイ2次小説》

時をこえて・・《シンイ2次小説》

「信義ーシンイー」の2次小説を綴っています。


ヨンは、寝台の傍らに座り、
ウンスの手を握りしめている。

その姿を、柔らかな眼差しで見守りつつ
長髪の医官がウンスの脈診を始める。


長髪の医官は、トギが持ってきた医療道具で、
ウンスを診察し、一つ息を整えてから、
ヨンの顔を見た。




「大護軍。
ご安心ください。
医仙様は、悪夢をご覧になられただけのようです。

ただ、かなりお疲れのご様子。
今しばらく、養生なされたほうがよいでしょう。」




長髪の医官が、ヨンを落ち着かせるかのように
ウンスの容体を説明した。




『悪・・・夢・・・

そうか・・・

あの時の毒が、この方を
苦しめているのではない・・・と?』




ヨンは、長髪の医官に、確かめるように聞いた。




「大護軍・・・

それは・・・
医仙様がお目覚めになり、
ちゃんとした診察が必要です。

ただ、今は、医仙様がお目覚めになったら
こちらの薬湯をお飲ませいただき、
数日は、養生いただくよう・・・」




長髪の医官は、トギに煎じさせた薬湯を
ヨンに差し出しながら告げた。




『わかった・・・

取り乱してすまない。』





ヨンは、長髪の医官から薬湯を受け取る。





「では・・・」





長髪の医官とトギは、
ヨンとウンスに、一礼をすると
部屋を後にする。

その後ろ姿に、ヨンが、一言声をかけた。





『そなた達が、ここに居てくれて助かった。

礼を申す・・・』





「いえ・・・

礼など・・・

私は、私の信義を通しているだけ・・・

それだけのこと・・・

それでは・・・」




長髪の医官は、ウンスに少し視線を移しながら告げると
もう一度、礼をして、トギと共に部屋を出ていった。
















部屋を出てきたトギは、

隣を歩く長髪の医官の横顔を見上げながら
ある出来事を思い出していた・・・







それは・・・







4年前の開京、皇宮での出来事・・・


キ・チョルがファスインとチョヌムジャに命じ
典医寺を襲撃させたあの惨劇。



トギの知らせを受け、

典医寺へ駆けつけたウンスと迂達赤達は
チャン侍医が、ウンスの薬を護るように

命尽きている姿を目撃した。

その惨状を目撃し、泣き叫ぶウンスを
トルベとトクマンが支えるようにして
迂達赤の兵舎にあるヨンの部屋へと戻って行った。

トギは、ウンスが典医寺から

迂達赤の兵舎へと戻る姿を見届けると
悲しみを堪えながら他の迂達赤たちとともに

典医寺の後片付けの為、
その場に残ることにした。

そして、命を落としたチャン侍医の傍らに座ると
その乱
れた髪や衣服を整え始めた。

その時、チャン侍医の右手の指が、

微かに動いたことに
トギが気付いた。

トギは、その手を握りしめ、
倒れているチャン侍医の脈を確認した。

《脈・・・が・・・
脈がある!!
力弱いけど・・・でも・・・!!》


トギは、近くにいる迂達赤の袖を引っ張り、
チャン侍医の命が尽きていないことを

身振り手振りで告げた。





























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最後まで、お読みいただき、
ありがとうございます。

ドラマ『シンイ』の2次小説です。
私の想像の世界です。
お読みいただき、
イメージが異なってしまうかもしれません。
その際は、スルーをお願いします。

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辛口コメントもお控えください。
万が一そのようなコメントをいただきましても
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心苦しくなるだけですので削除させて頂きます。
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by junjun