Reincarnation ~誕生・生まれし運命~ 20 | 時をこえて・・《シンイ2次小説》

時をこえて・・《シンイ2次小説》

「信義ーシンイー」の2次小説を綴っています。


役場の広場に、
縄を打たれた役場の責任者の男が
両脇を兵に捕まれ、連れて来られる。

ヨンは、男の前の椅子に座り
男を睨みつける。

チュンソクはその隣で
男の罪を一つ一つ並びたてた。

その声に、
証人として役場に来た
斬殺された文官の両親と
村の若者の家族が
悲しみの声を漏らす。

「・・・何か、申し立てることはあるか?」

チュンソクは、役場の男に言った。

男は、待ってましたとばかりに
口を開く。

「はい・・・
全く、身に覚えのないことでございます。

何故、私が、このような
取り調べを受けることになるのでしょう。

私は、この村が
安穏に、平和に暮らせるよう
身を粉にして働いてきたのです・・・」

男は、何喰わない顔で
自分は無実だと訴えた。

「何をいうんだ?!

あんたは、開京のおえらいさんに
気に入られようと、
沢山の袖の下を贈っていたじゃないか?

その袖の下を用立てるため
儂ら、村人の税を
べらぼうに高くして・・・」

斬殺された村の若者の家族が
役場の男の言い分に異議を唱えた。

「そ、そのようなこと・・・

どこに証拠がある?

そなたの息子が
妄言を言っていただけではないのか?」

役場の男は、若者の家族が
証拠を持っていないと
思い込んでいた。

「証拠なら、ここにある!!」

若者の家族の1人が
胸のたもとから
一枚の書付を取り出した。

『チュンソク。』

ヨンは、役場の男と
若者の家族のやり取りを
黙って聞いていた。

ヨンの声にチュンソクが、
若者の家族から書付を受け取り、
ヨンに手渡した。

『なるほど・・・

これは、大した証拠だ。
言い逃れは出来ぬ。』

ヨンは、書付を確かめると
役場の男の前に、歩み出た。

「さ、上護軍・・・様・・・?」

男は、ヨンの迫力に
震えあがり、額に嫌な汗をにじませる。

『その方の悪行は
こちらに来る前に、
調べていた。

だが・・・
これほどまでに
村人を苦しめていたとは・・・』

ヨンは、税を値上げすると記された
役場の男の記した書付を
男の前に投げつけた。

「ま、まさか・・・
これが残っていた・・・とは・・・」

がくがくと震えながら
男が呟く。

『その方・・・
これだけが罪ではない。

これを見よ。』

ヨンは、文官の家の庭の木に
隠された証拠を、男に見せる。

『これは・・・

その方が、開京の高官に
贈っていた袖の下の証拠だ。

賊に襲わせ、
口を封じたつもりであったのであろう。』

ヨンは、怒りに満ちた声で
文官が命がけで護った証拠を
男に突き付けた。

「あいつ・・・
ここまで、周到に・・・」

役場の男は、悔し気な声を漏らす。

「上護軍様・・・

私から、申し上げてもよろしいでしょうか?」

役場の男の悔し気な声に
文官の父がヨンに聞いた。

『うむ・・・
遠慮せず、話されよ。』

ヨンは、文官の父に
話を促した。

「ありがとうございます・・・

実は・・・
我が息子は・・・

開京にいけば、殺されることを
覚悟しておりました。

されど・・・

このような、開京から離れた
国境に近い、小さな村。

上奏文を送るだけでは
何も変わりませんでした。

恐らく・・・
皇宮のどこかで
もみ消されていたのではないかと・・・

それ故・・・
このままでは、
村が潰れてしまう・・・

不幸な村人が増えるばかり・・・

息子は・・・
高麗を護るには、
小さな村であっても
曲がったことがあってはならない・・・

王様の政に
影をさすことがあってはならない・・・

その為にならば、
自分の命を奪われても
構わない・・・

それが、自分の生まれてきた運命だと・・・

開京に旅立つ前日、
そう、申しておりました・・・」

文官の父は、
涙を堪えながら訴えた。





















にほんブログ村 小説ブログ 韓ドラ二次小説へ
にほんブログ村
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
最後まで、お読みいただき、
ありがとうございます。

ドラマ『シンイ』の2次小説です。
私の想像の世界です。
お読みいただき、
イメージが異なってしまうかもしれません。
その際は、スルーをお願いします。

また、非難中傷されるような
辛口コメントもお控えください。
万が一そのようなコメントをいただきましても
お返事もできませんし、
心苦しくなるだけですので削除させて頂きます。
ご了承くださいませ。

by junjun