闇夜の開京の市井を
リュウは、ソルファを探して
走り抜けていく。
「なんてことだ・・・!
ちょっと目を離した瞬間に・・・
高麗の言葉もわからないのに
1人で隠れ家を抜け出すなんて・・・
くそっ!
どこに行ったんだ!!」
ソルファの身を案じるリュウの前に
テマンが突然姿を現した。
「リュウ!!」
「テマン!」
リュウは、苛立ちながら、
その脚を止める。
「リュウ。
上護軍から伝言だ。
ソルファ殿は、
囮になろうとしているはず。
今すぐ、国境へ向かえ。
上護軍もすぐにあとを追うとのことだ。」
「まさか・・・
いや・・・あり得るな・・・
わかった、すぐに向かう。
テマン。
《蒼い狼》の隠れ家にいる
ソルファの子だが・・・」
「大丈夫だ。
いま、マンボ姐が隠れ家にむかった。
世話をしてくれるはずだ。」
「そうか・・・
だが・・・
マンボ姐に世話ができるのか?」
リュウは、不思議そうに聞く。
「ま、確かにあの見た目だとな・・・
だが・・・
生粋のスリバンは、
マンボ姐が育てたもんだからな・・・
両班の子育てはわからなくても
俺たちや《蒼い狼》よりは
世話ができると思う。」
「なるほどな・・・
テマン。
先に行くと、ヨンに伝えてくれ。」
リュウは、テマンにヨンへの伝言を頼むと
開京の夜の闇の中を
国境へ向かった。
チェ家の屋敷。
ウォンソンと湯あみを済ませたヨンは、
夕餉の支度の整った居間へ足を運ぶ。
居間に足を踏み入れる直前、
ウンスがヨンを呼び止めた。
「ヨン・・・」
ウンスの声色に不安の色を
見つけたヨンは、
優しい笑みを浮かべながら振り返る。
『ウンス?
如何しました?』
「はい・・・
これ・・・」
振り返ってみた、ウンスの手には
《蒼い狼》の装束が入った衣装箱を持っていた。
『これは・・・?』
「気付かないとでも思ってた?
何年、貴方の妻をしていると思うの?
ほら・・・
急がなくちゃいけないんでしょ?」
ウンスは、貼り付けたような笑みで
ヨンに着替えを急かす。
『ウンス・・・』
「大丈夫・・・
信じてるから・・・
ヨンを信じて、ここで待ってる・・・
だから・・・
必ず、帰ってきて・・・」
居間の隣の部屋で、ヨンの着替えを
手伝いながら、ヨンの背中で
最後は消え入りそうな声でウンスは告げた。
『ウンス・・・
約束します・・・
俺は、必ず帰ってきます。
貴女を一人にすることは
断じてありません・・・』
ウンスの震える手を、
ヨンの大きな手が優しく包み込んだ。
「ん・・・」
ウンスは、ヨンの背中に
額をつけて、祈るように頷く。
そして、ゆっくりとヨンの背中から離れると
ヨンの愛剣・鬼剣を両手でヨンに渡す。
「・・・いってら・・・しゃ・・・」
ヨンは、鬼剣を受け取ると、
ウンスの言葉を遮るように
ウンスの腰に腕を回し、抱き寄せ
その唇を自分の唇で塞いだ。

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ドラマ『シンイ』の2次小説です。
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by junjun