『主!!
しっかりしろ!!
死ぬな!
死んではならぬ!!』
ヨンは、主の身体を抱き起し
主の身体を揺さぶりながら叫んだ。
ヨンは、主を抱え上げ、庭へと出てきた。
一か所に集められ、縄で縛り上げられながら
眠りこけている重臣達を確認すると
《蒼い狼》やスリバン達に
引き上げの合図を出した。
チュホンに跨り、主を抱え、
ヨンは、夜の開京を駆け抜ける。
『主!
何故、このような事を・・・
そなたが命をかけることなどないのだ。』
ヨンは、意識のない主に
声をかけながら、皇宮へとチュホンを急かした。
「う・・・ん・・・?」
間もなく皇宮へ到着しようとした時
主の意識が微かに戻ってきた。
『主?!
気がついたか?
しっかりしろ!
もうすぐ、皇宮に到着する。
全く、無茶な事をして
命を無駄にするな!!』
ヨンは、怒りが込み上げてくるとともに
主の想いが痛いほど感じていた。
「上護軍・・・様・・・
良いのです・・・これで・・・
陰陽道は・・・
夢幻花の術は・・・
もう・・・誰も使えません・・・
あのような術は・・・
存在・・・しない・・・ほうが・・・」
主は、途切れがちになる意識の中
ヨンに最後の望みを伝えた。
ヨンは、意識が遠のく主を
しっかりと支え、皇宮の奥
忘れ去られた宮へと主を連れて行った。
月が中天に差し掛かる少し前。
迂達赤兵舎では、トクマンが落ち着かない様子で
うろついていた。
「トクマン!!
何をウロウロしている!!
間もなく、刻限なのではないのか?!」
トクマンの背中から、
チェ尚宮がしかりつけるように声をかけた。
「あ!これは、チェ尚宮様。
準備は整っています。
すぐに、出立できます。」
トクマンは、チェ尚宮の顔を見るなり、
姿勢を正し、虚勢を張ってみせた。
「ならば、さっさと出立せぬか!!
もうすぐ、月が中天に差し掛かるぞ!!」
チェ尚宮は、トクマンの脛を一蹴りすると、
迂達赤兵舎から、ウンスがヨンの帰りを待つ
忘れ去られた宮へと向かった。
皇宮の奥。
ウンスは、ヨンの帰りを待ちながら
忘れ去られた宮の中庭で、
夜空に浮かぶ月を見ていた。
優しい風が、ウンスの亜麻色の髪をなびかせながら
通り抜けていく。
風になびく髪を押さえながら、
ふと、中庭の端に見かけない花が咲いていることに
ウンスが気付いた。
それは、屋敷の薬草園のちかくに咲き誇っていた花と
色はちがっても、同じ花だった。
「あら・・・?
こんなところに花が・・・」
ウンスは、花の傍へと近づいていく。
ウンスが、その花に手をさし伸ばそうとした瞬間
花は揺れながら、儚く散って行った・・・

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ドラマ『シンイ』の2次小説です。
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by junjun