2023年3月1日にくも膜下出血を発症、そして復活の記録


私の退院後、小脳梗塞で入院した母の検査で、偶然見つかった3つの未破裂脳動脈瘤のうちの微妙な大きさになってきて破裂の可能性が高くなってきた1つについての手術をするかどうか…という選択肢を抱えたまま、まずは小脳梗塞の治療のため、約2週間の入院を経て、その後、小脳梗塞の影響からの歩行や、平衡感覚、記憶力低下などを取り戻すべくリハビリのため、転院して約1ヵ月の入院をすることになった。

転院する前に、母には未破裂脳動脈瘤がみつかったことや、その手術をするかどうかの話を、主治医に立ち会ってもらい説明を聞きながら、答えを出す日がきた。

母方の親族は、皆、高血圧の病歴があること。母自身も高血圧で、長年治療していること。

母の父親が脳出血で倒れて亡くなっていること。

もろもろの悪条件を踏まえ、手術が可能であるのなら、受けたいという希望を医師に伝えた。その結果、手術は希望しても1~2ヵ月先の予約になるので、転院先のリハビリが完了したら、あらためて大学病院での外来ののち、手術の予約を取るという、気の遠くなるような手順を取ることになった。

その間に、もし破裂したら…という不安を抱えながらも、今できる一番最善の選択だと信じたかった。


母も、そういう不安がつきまとうのなら手術したいと承諾はしたものの、きっと迷いもあったのだろうけど、痛みも違和感もないため、正直自分では決められなかったんだと思う。

むしろ本人の希望というよりは、くも膜下出血の恐ろしさをついこの間、身をもって体験してしまった私や、患者である私をささえてくれた家族、兄弟の切なる希望の方が大きかった気もしないでもなかったけれど、万が一破裂しても、私のように復帰できれば幸いであるが、そうではない確率の高さを考えたら、防げるものなら、防ぎたいという思いが強かった。


小脳梗塞治療後のリハビリ入院1ヵ月を経て退院した母は、その10日後、大学病院へもう一度入院し、その3日後カテーテルにてコイル梗塞手術をした。


術後経過は順調で、10日間の入院を経て退院した。


本日、術後の約1ヵ月の定期検診に母を連れて病院へ行った。

血圧も安定しており、順調な経過をたどっている。一安心だ!破裂の危険の前にその不安を回避できたこと、そして順調に日常に戻れたこと、まずは安心感を手に入れ、重荷をひとつ下ろすことができたような気持ちになった。


母にとっては、手術そのものより、それに至るまでの血管造影や、MRI検査などが、高齢の身体には響き、検査=嫌なイメージがすっかりついてしまったようで、経過順調の今日をむかえてもなぜかネガティブなままだった。

ましてや、脳動脈瘤があったとしても、そのものは無症状だったため、手術するということにもピンとこない状態で、気の進まない手術を決められてしまったという流れにいささか迷いがあったのか、それともナーバスになっていたのか『手術するって言っちゃったけど、もう歳だし病気がみつかったなら、成り行きにまかせてそれこそコロっと逝けるならそれでもいいし、もうどうでもいい…』みたいなことを手術前、面会に行くたびにそんな言葉を何度も口にする母がいた。

万が一、脳動脈瘤が破裂したとき、言い方はえげつないが、いわゆるコロっと逝くのか、コロッとではなく苦しい状態で逝かなければならないのか、一命はとりとめても後遺症を一生かかえることになるのかすらわからないということが起こりうるかもしれない、莫大な不安をとりのぞくために話し合って、一番良いと判断した選択肢を選んだつもりだっただけに、その言葉には苛立ちすら覚えた…

今となっては、母にとって最善の…と思っていたけど、ほんとうは自分たちの自己満足だったのだろうか?なんだか複雑な気持ちになった…


病というものは、完治、寛解、予防…対策はいろいろあるけれど、それに伴い、気持ち、考え、迷いは数多くある。それらに寄り添う時間や、寛大さを持ち合わせるほどの余裕はもてなかった…



なんてことを思いあぐねていたけれど、そうだったとしても、事実、こうして不安を回避し、順調に進んできているのだから、ごちゃごちゃ思い返すのはもうやめよう…