Wikipediaで「直木三十五賞」を見ていたら遭遇。今回はタイトルに魅かれて。珍しく、装丁ではありません。
私はたぶん泣きだすべきだったのだ。身も心もみちたりていた恋が終わり、寂しさのあまりねじ切れてしまいそうだったのだから―。濃密な恋がそこなわれていく悲しみを描く表題作のほか、17歳のほろ苦い初デートの思い出を綴った「じゃこじゃこのビスケット」など全12篇。号泣するほどの悲しみが不意におとずれても、きっと大丈夫、切り抜けられる……。そう囁いてくれる直木賞受賞短篇集。
普段は恋愛ものはあまり読みません。この本も多分書店で遭遇していれば、読まなかったかも、と思います。
やっぱり女性の心にすり寄っていくのは難しい。
誰かが誰かを全て理解することができるのか、今まで言えなかったことを言えるようになるのか、人と人がつきあっていく、時間を共にしていくことには、それぞれの関係、それぞれのタイミング、それぞれの…限りない要素の中で、それぞれがそれぞれに抱えきれない想いを抱いて、一様ではない出来事を重ねて。
共通する答えがない以上、それはそれぞれがそれぞれのやり方で答えを見つけていくしかなくって、それぞれがそれぞれに想いを積み重ねるものだから、それぞれにすれ違って。
大切なことはひとそれぞれだけど、少しずつでもそのそれぞれを理解すること、理解しようとすることを大切に、全てのひとに対して同じようにはできないけど、そういう努力をしていこうと。
主題とはきっとかけ離れているけど、そんな本。

