母の診察日

優しい先生は 穏やかに
母ののらりくらりの話を
聞いてくださる

同じような話をいつまでもする

診察も終わりを迎えようとしていても

振り出しに戻る
のサイコロを振り撒くる母

それが、病気以前の問題点

もともと 壊れているのだ

人に褒めてもらいたい
優しい言葉をかけてもらいたい

そんな言葉が返ってくるように
話を持ちかける手口は巧妙

散々 褒められ慰められ
満足しても尚相手に求める

内科の先生にも毎回それをして
それが いわゆる 
悪質に近くなり

精神科を紹介された

確かにその時は 
心を病んでいただろう

だが、それが
持病であることを
私は長年確信してきた

数回抗うつ剤を処方してもらい
私に愛や優しさをねだり続け

むしり取られている

今回も
品の良い優しい老婆を演じ切った母は、満足そうにしていた

私にも似たようなところがある

その時 あるいは、相手の人となりで 対応を変える
私も嫌な女だ

それが 自然とそうなってしまう不思議さ
声すら 顔つきも変わる

私もずっと前から
病んでいるのだろう

そんなところ
似ないでよかったのに

そんなところばかり
似るものだ

気をつけよう